日吉でストレッチに通っても肩こりが戻る理由と、研究が示すもう一段の選択肢

日吉でストレッチの店を探している方の多くは、すでに一度は通ったことがあります。受けた直後は軽い。けれど数日、早ければ翌日には戻っている。そしてまた予約を取る。この繰り返しに、どこかで違和感を持ち始めた頃に検索されることが多いようです。

この記事では、肩こりと腰痛について研究で分かっていることを、当ジムの都合の良いようにではなく、そのまま書きます。結論から言うと、ストレッチが無駄なのではありません。ストレッチには「効いている時間の長さ」に限界がある、という話です。

いま、日本の女性の不調の第1位は腰痛です

厚生労働省の国民生活基礎調査は、自覚症状のある人の割合を症状別に出しています。2025年(令和7年)の調査では、女性の第1位は腰痛で、人口千人あたり100.8。第2位が肩こりで89.2でした。男性も第1位は腰痛で85.9です。

この順位は、以前とは入れ替わっています。2019年(令和元年)調査では女性の第1位は肩こり(117.5)で、腰痛(115.5)は僅差の第2位でした。2022年の調査で逆転し、その状態が続いています。肩こりの数字が下がった一方で、腰痛は男女ともトップのままです。

問題は「座りっぱなし」ではなく、「座りっぱなし+運動ゼロ」でした

デスクワークが首や肩に良くない、というのは感覚的にも分かります。ただ、研究が示しているのはもう少し込み入った話です。

ドイツの労働者2,082人を対象にしたコホート研究(2024年)では、仕事中の座位時間と上半身の不調に、全体では一貫した関連が見られませんでした。関連が出たのは、余暇にまったく運動をしていない人に限った場合です。その群では、週25〜35時間の座位で首の不調が1.46倍、肩の不調が1.30倍に上がっていました。余暇に何らかの身体活動がある群では、有意な関連が出ませんでした。

著者らは「余暇の身体活動が、職場での座位の影響を相殺しうる」と書いています。座る時間を減らせない人でも、打つ手は残っているということです。

なお、日本の都市部労働者1,398人を1年追跡した研究(2016年)では、重い肩こりを新たに発症するリスクは、女性で2.39倍、睡眠時間が短い人で2.86倍、仕事に関連した抑うつ気分がある人で3.11倍でした。姿勢だけの問題ではない、ということも同時に分かっています。

ストレッチの効果は、思っているより早く消えます

ここが、多くの方が薄々気づいている部分です。

ハムストリングスのストレッチ後に可動域を時間を追って測った研究では、改善が確認できたのは6分後まででした。8分後の測定では、すでに元の値に戻っていました。1回のストレッチが作る変化は、分単位だということです。

では数週間続ければ組織が変わるのか。これについては、2010年の総説が整理しています。単回のストレッチや3〜8週間程度のプログラムで得られる「柔軟性の向上」は、筋が構造的に長くなったからではなく、主として「伸ばされる感覚への慣れ」の変化によるものだ、という結論です。伸びた感じはするけれど、伸ばす対象そのものが作り変わったわけではない。

だから戻ります。これはお店の腕前の問題ではなく、ストレッチという手段の性質です。

首・肩は「伸ばす」より「支える」ほうが、結果が出ています

オフィスワーカーの首の痛みに対する職場での介入を集めた系統的レビュー・メタ解析(2018年)は、方法ごとに効果を比較しています。

首・肩の特異的な筋力トレーニングは、トレーニングなしと比べて効果量0.46。肩甲帯に絞ったトレーニングでは0.93。一般的なフィットネスと比べても、特異的な筋力トレーニングのほうが上(0.43)でした。そして、ストレッチ単独は、ストレッチをしない場合と有意な差がありませんでした。

もっと分かりやすい試験もあります。慢性的な首の痛みを持つ25〜53歳の女性オフィスワーカー180人を3群に分け、12か月追跡したランダム化比較試験(2003年)です。①筋力トレーニング群、②持久力トレーニング群、③ストレッチと有酸素運動のみの対照群。

12か月後、①と②は③より痛みも生活の支障も有意に少なくなっていました。首の筋力の伸びは、筋力群で屈曲110%・回旋76%・伸展69%の向上。対照群は10%・10%・7%でした。1年かけてストレッチと有酸素を続けた群と、差がついています。

必要な量は、思っているより少なくて済みます

ここで「では毎日ジムか」と思われると困るので、量の話も書いておきます。

オフィスワーカー447人を20週間追跡したランダム化比較試験(2012年)では、週合計60分の特異的筋力トレーニングを、週1回60分・週3回20分・週9回7分の3通りに分けて比較しました。結果は、どの分け方でも対照群より有意に痛みが減りました。

つまり、週にトータル1時間。まとめて取れないなら、刻んでもかまわない。これは仕事を持っている方にとって、かなり現実的な数字だと思います。

腰痛も、構図は同じです

慢性腰痛に対する運動療法は、249件のランダム化比較試験を統合したコクランレビュー(2021年)で検討されています。無治療・通常ケア・プラセボと比べ、痛みは100点満点換算で15.2点の改善。中等度の確実性で、臨床的に意味のある差とされました。機能障害のほうは6.8点の改善で、こちらは統計的には有意でも、臨床的に重要とされる水準には届いていません。効果は「ある」が「万能ではない」という、正直な結果です。

日本の腰痛診療ガイドライン2019(日本整形外科学会・日本腰痛学会監修)でも、慢性腰痛に対する運動療法は推奨度1、エビデンスの強さBとされています。一方で、急性・亜急性の腰痛についてはエビデンス不明で推奨なしです。「痛くなったばかりの腰を運動で治す」話ではない、という線引きは押さえておいてください。

運動より先に、病院に行くべきサインがあります

ここは、トレーナーが踏み込んではいけない領域です。腰痛診療ガイドライン2019は、重篤な脊椎疾患を疑うべきサイン(レッドフラッグ)を挙げています。

発症年齢が20歳未満または55歳超。時間や活動性に関係のない痛み、つまり安静にしていても夜でも痛む場合。胸部痛。がん・ステロイド治療・HIV感染の既往。栄養不良。体重減少。広範囲に及ぶ神経症状。構築性の脊柱変形。発熱。

加えて、下肢の麻痺や膀胱直腸障害を伴う場合は、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の可能性が挙げられています。しびれ、力が入らない、間欠跛行(歩くと痛くなり休むと楽になる)も同様です。

当てはまるものがあれば、ジムでもストレッチ店でもなく、整形外科へ行ってください。これは遠慮ではなく、順番の問題です。

参考:日吉のCLEAN.の場合

比較の材料になるよう、当ジムがどうしているかも書いておきます。

日吉駅 西口から徒歩3分、女性専用・完全個室のパーソナルジムです。男性は法人契約と、既存会員様からのご紹介のみお受けしています。ウェア・シューズ・タオル・水はすべて無料でお貸しするので、手ぶらで通えます。

肩や腰の不調をお持ちの方には、まず上に書いたレッドフラッグに当てはまるものがないかを確認します。当てはまる場合は、トレーニングの前に受診をお願いしています。歯科医師・理学療法士・鍼灸師の先生方とつながりがあり、必要に応じてご紹介もしています。トレーナーの判断だけで進めてはいけない領域がある、というのが当ジムの立場です。

そのうえで始める場合、狙うのは肩甲帯まわりと体幹を「支える」側です。ストレッチは準備として使いますが、それを主役には置きません。理由は、この記事に書いたとおりです。

ストレッチと徒手でのケアそのものをご希望の方には、Personal stretch & Relaxation のコースも用意しています。トレーニングは今は考えていない、まず体をゆるめたいという段階の方は、こちらからでも構いません。

料金は月4回コースが42,000円(税込46,200円)、月8回コースが72,000円(税込79,200円)です。月額プランには毎日のLINE食事指導と、10日ごとのフィードバックが含まれます。24回分の回数券は211,200円(税込232,320円・有効期限180日)で、こちらにLINEの食事指導は含まれません。入会金は30,000円(税込33,000円)で、これ以外の追加料金はありません。料金・プランのページに、含まれるものをすべて書いています。

まとめ

ストレッチは効きます。ただし効いている時間は分単位で、数週間続けて得られる変化も、組織が長くなったというより感覚が慣れたという性質のものです。だから戻ります。

研究で繰り返し出ているのは、首・肩については「伸ばす」より「支える」ほうが痛みの減り方が大きいという結果です。ストレッチ単独は、無介入と有意差がありませんでした。腰痛についても、慢性であれば運動療法が推奨されています。

必要な量は週合計60分程度から。まとめても刻んでもかまいません。そして、レッドフラッグに当てはまるなら、まず病院です。

通われる場所がどこであっても、戻らない状態に近づけることを願っています。

日吉に通うのが難しい方は、横浜のオンラインパーソナルトレーニング・オンライン食事指導もご検討ください。

出典

厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」/同「2019(令和元)年 国民生活基礎調査の概況」/Dang THA ほか, Journal of Occupational Medicine and Toxicology, 2024/Sawada T ほか, Industrial Health, 2016/Spernoga SG ほか, Journal of Athletic Training, 2001/Weppler CH, Magnusson SP, Physical Therapy, 2010/Chen X ほか, Physical Therapy, 2018/Ylinen J ほか, JAMA, 2003/Andersen CH ほか, British Journal of Sports Medicine, 2012/Hayden JA ほか, Cochrane Database of Systematic Reviews, 2021/日本整形外科学会・日本腰痛学会監修「腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)」

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