プロテインは飲むべきか。必要な人と、要らない人

「プロテインって、飲まないと意味ないですか」

日吉の体験トレーニングで、実際にうかがった言葉です。筋トレを始めるとき、プロテインは「始めるための道具」だと思われている。飲まないままでは効果が半分になるのではないか。その不安が、質問のかたちを決めているように感じます。

この記事では、実際に発表されているメタ解析を開いて、そこに書かれている数字だけを並べます。上乗せ効果は何kgか。総摂取量が足りていても効くのか。由来やタイミングで差は出るのか。女性のデータはどれだけあるのか。CLEAN.はサプリメントの販売をしていないので、売るための書き方はしません。結果が割れているところは、正直に両方書きます。着地は「食事で足りているなら要らない」ですが、その「足りている」の中身は具体的な数字で決まります。

上乗せ効果は、何kgなのか

Morton らが2018年に British Journal of Sports Medicine に発表したメタ解析は、筋力トレーニングを行った健常成人のランダム化比較試験49件・のべ1,863名をまとめ、たんぱく質サプリメントを追加した群としなかった群を比べています。

結果は、除脂肪量の増加が0.30kg(95%信頼区間 0.09〜0.52)、1RM(1回だけ挙げられる最大重量)の増加が2.49kg(0.64〜4.33)。統計的には有意で、効果はゼロではありません。ただし300gです。飲めば筋肉がつくのではなく、トレーニングでつく筋肉に小さく上乗せされる。数字が示しているのはその構図です。

同じ解析では、上乗せは年齢が上がるほど小さくなり1歳あたり −0.01kg(p=0.002)、逆にトレーニング経験者では差が0.75kg(0.09〜1.40)と大きく出ました。始めたばかりの方ほど「まずプロテインから」と考えがちですが、データの傾きは逆を向いています。

分かれ目は「総量が足りているか」だけ

同じ解析のメタ回帰では、1日の総たんぱく質摂取量が1.62 g/kg/日(1.03〜2.20)を超えると、それ以上増やしても除脂肪量の上乗せが見られなくなる折れ点が示されました。体重50kgの方なら1日およそ81gです。

ここは正直に書きます。Tagawa らが2021年に Nutrition Reviews に発表した用量反応のメタ解析(105論文・138の介入群・5,402名)は、より低い1.3 g/kg/日という変曲点を報告しました。それ未満では0.1 g/kg/日増やすごとに除脂肪量が0.39kg増えるのに対し、1.3を超えると同じ0.1 g/kgあたり0.12kgまで効率が落ちます。ただし筋力トレーニングを併用すると、高摂取域での低下は抑えられるとも述べられています。

1.62と1.3。数字は一致していません。ですが両者はある水準までは増やすほど効き、超えると上乗せがほぼ消えるという同じ形を示し、折れ点はどちらも1.3〜1.6gの帯に収まります。国際スポーツ栄養学会が2017年に示した見解も、運動している人には1.4〜2.0 g/kg/日で十分としています。

つまり「飲むべきか」という問いは、「1日の総たんぱく質は体重1kgあたり何gか」に置き換わります。体重50kgで1日65〜80g。食事だけで満たせているなら、粉を足して得られるものはほとんどありません。

ホエイか、大豆か

ここも割れているので、両方書きます。Messina らが2018年に International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism に発表したメタ解析(9件・266名)では、ホエイと大豆を直接比べた5件・106名で除脂肪体重(p=0.96)、ベンチプレス(p=0.90)、スクワット(p=0.64)のいずれも有意差なしです。

一方、Lim らが2021年に Nutrients に発表したメタ解析(16件)では、絶対量としての除脂肪量は0.22kg(−0.02〜0.46)で有意差なしでしたが、除脂肪量の「割合」では動物性が0.50%(0.05〜0.95)有利。50歳未満に限ると除脂肪量で0.41kg(0.08〜0.74)の差がつきました。筋力はスクワット1RMも握力も有意差なしです。

つまり筋力に由来の差は確認されておらず、除脂肪量でも0.2〜0.4kg程度。由来に悩むより、総量を1日10g増やすほうが効きます。

「トレーニング後30分」は本当か

Schoenfeld、Aragon、Krieger による2013年の Journal of the International Society of Sports Nutrition のメタ解析は、筋肥大23件・525名、筋力20件・478名でこれを検証しています。単純に解析すると筋肥大に効果量0.24(±0.10)が出ますが、1日の総たんぱく質摂取量を共変量として投入すると、この差は消えました。効果量を最もよく説明していたのは総摂取量だった、と著者らは述べています。

国際スポーツ栄養学会の見解も、運動による同化作用は少なくとも24時間続くとし、1食あたり体重1kgあたり0.25g、または20〜40gを目安に、タイミングは個人の都合でよいという立場です。急ぐべきは30分ではなく1日の合計です。

女性のデータは、どれくらいあるのか

ここが、いちばん正直に書かなければならない部分です。Costello らが2014年に European Journal of Sport Science に発表した調査では、スポーツ・運動医学の主要誌に載った1,382本の原著論文・のべ6,076,580名のうち、女性参加者は全体の39%でした。ここまでのメタ解析の多くも、男女混合か男性中心のデータが土台です。

女性だけを対象にしたものも出てきています。Zhou らが2025年に Frontiers in Nutrition に発表したメタ解析は、9件・健常女性408名(18〜73歳)を対象に、たんぱく質に他の成分を組み合わせたサプリメントと運動の併用を調べ、除脂肪量0.45kg(0.19〜0.71、p=0.003)の増加、筋肥大の効果量0.35、筋力の効果量0.50を報告しました。一方で体脂肪量・体脂肪率・ウエスト周囲径には有意な改善が見られていません。「飲むと痩せる」という期待に、この408名のデータは応えていません。

食品から摂る場合と、どう違うのか

総量という観点では、粉と食品に本質的な違いはありません。国際スポーツ栄養学会の見解も、必要量を食品だけで満たすことは可能だとしたうえで、サプリメントは量と質を確保しつつカロリーを抑えやすい実際的な手段だ、と位置づけています。「食品では不可能」とは書かれていません。

  • 卵1個:およそ6g/納豆1パック:およそ7g
  • 木綿豆腐 半丁(150g):およそ10g
  • 牛乳 コップ1杯(200ml):およそ7g
  • 鶏むね肉(皮なし、100g):およそ22g
  • 鮭 1切れ(80g):およそ18g

体重50kgの方の目安を65〜80gとすると、朝に卵1個と納豆とごはん、昼に鶏むね肉100gと豆腐半丁、夜に鮭1切れとヨーグルトで70g台に届きます。逆に、朝を抜き昼は麺かおにぎりだけという生活では1日30〜40g台で終わります。有効なのは粉そのものではなく、粉でも食品でもいいから足りない30gを埋めることです。

腎臓への影響は

Devries らが2018年に The Journal of Nutrition に発表した系統的レビューとメタ解析(28件・1,358名)は、高たんぱく食(平均1.81 g/kg/日)と通常・低たんぱく食(平均0.93 g/kg/日)を比較しました。糸球体濾過量(GFR)の変化量に有意差はなく(標準化平均差0.11、p=0.16)、健常成人で高たんぱく摂取がGFRに悪影響を与えるとは言えない、と結論づけられています。

ただし、これは健常成人を対象にした解析です。すでに腎機能に指摘を受けている方には適用できません。該当する方は主治医の指示に従ってください。

飲みすぎという落とし穴

総摂取量が1.62 g/kg/日を超えれば上乗せは見られず、1.3 g/kg/日を超えれば0.1 g/kgあたりの効きが0.39kgから0.12kgへ、約3分の1に落ちます。それでもたんぱく質はエネルギーを持っています。上乗せが消える領域で飲み続ければ、増えるのは筋肉ではなく総摂取カロリーです。すでに足りている方が習慣で1日2杯を足す形が、いちばん気づきにくいところです。

必要な人と、要らない人

飲む価値がある人

  • 記録してみて、1日の総たんぱく質が体重1kgあたり1.2gを下回っている方(体重50kgなら60g未満)
  • 朝食を抜く、昼が炭水化物だけ、という日が週の半分以上ある方
  • 減量中で総カロリーを絞っており、食品を増やすと予算を超える方
  • トレーニング経験があり伸びが停滞している方(経験者の上乗せは0.75kgと平均より大きい)
  • 年齢や体調で食が細く、食事の量が物理的に入らない方

飲まなくてよい人

  • 記録してみて、すでに体重1kgあたり1.6gを超えている方
  • 「痩せるために」飲もうとしている方(408名の解析で体脂肪率もウエストも動いていません)
  • トレーニングを始めたばかりで、何から手をつけるか迷っている方
  • 腎機能に指摘を受けている方(主治医の判断が先です)

よくある質問

プロテインを飲まないと、筋トレの効果は落ちますか

落ちません。ランダム化比較試験49件・1,863名の解析で、サプリメント追加による上乗せは除脂肪量0.30kg、1RM 2.49kgです。効果はゼロではありませんが、主役はトレーニングそのものです。総たんぱく質が足りていれば、飲まなくても成り立ちます。

ホエイと大豆、どちらを選ぶべきですか

筋力については、9件・266名の解析でもホエイと大豆の直接比較5件・106名でも有意差が出ていません。除脂肪量では解析により「差なし」と「動物性が0.2〜0.4kg有利」に割れます。由来を悩むより、1日の総量を増やすほうが効きます。

トレーニング後30分以内に飲まないと意味がないのでしょうか

その必要はありません。23件・525名のメタ解析では、タイミングに効果量0.24が出たものの、1日の総たんぱく質摂取量を共変量に入れると差は消えました。差の正体は総量です。1食20〜40gを目安に、帰宅後の食事で足りています。

参考:日吉のCLEAN.の場合

CLEAN.は、日吉駅 西口から徒歩3分の、女性専用・完全個室のパーソナルジムです。男性のご利用は、法人契約と既存会員様からのご紹介のみとさせていただいています。ウェア・シューズ・タオル・水はすべて無料で貸し出すので、手ぶらで通えます。

CLEAN.では、サプリメントの販売をしていません。この記事を中立に書けているのは、売るものがないからです。飲みたい方を止めることも、要らない方に勧めることもしません。

そのかわり、月額プランには毎日のLINE食事指導と、10日ごとのフィードバックが含まれます。この記事が「1日の総たんぱく質が体重1kgあたり何gか」の一点に集約される以上、毎日の食事を見せていただくことが粉を勧めるより先に来ます。記録を取ると1.6gを超えていて「では要りませんね」で終わる方も、1.0gに届かない方も、どちらもいらっしゃいます。

料金は、月4回コースが42,000円(税込46,200円)、月8回コースが72,000円(税込79,200円)、24回分の回数券が211,200円(税込232,320円・有効期限180日/LINEの食事指導は含まれません)です。入会金は30,000円(税込33,000円)で、これ以外の追加料金はありません。3つのプランの違いと料金・プランのページもあわせてご覧ください。

まとめ

プロテインの上乗せ効果は、49件・1,863名の解析で除脂肪量0.30kg、1RM2.49kg。ゼロではありませんが、主役はトレーニングそのもので、粉はその上に小さく乗る補助です。

その上乗せには天井があります。総摂取量が1.62 g/kg/日を超えると上乗せは見られず、別の解析では1.3 g/kg/日を境に0.1 g/kgあたりの効きが0.39kgから0.12kgへ落ちます。折れ点の位置は一致しませんが、どちらも「ある水準から先は効かない」形です。体重50kgなら1日65〜80gがその帯です。

由来の差は筋力では確認されず、除脂肪量でも0.2〜0.4kg程度。タイミングは総摂取量を調整すると差が消えました。腎機能は28件・1,358名でGFR変化量に有意差なし。女性408名の解析では、体脂肪率もウエスト周囲径も動いていません。

食事で足りているなら要りません。足りていないなら、粉でも食品でも埋めることが有効です。まず必要なのは粉を買うことではなく、3日分の食事を書き出して自分が1日何g摂れているかを知ること。その数字が出れば、答えは決まります。

日吉まで通うのが難しい方には、オンラインでの対応もご用意しています。横浜のオンラインパーソナルトレーニング・オンライン食事指導(CLEAN.Online)では、食事記録をもとにしたたんぱく質量の確認も、画面越しに同じように進められます。

- CLEAN.

出典

Morton RW, Murphy KT, McKellar SR ほか, British Journal of Sports Medicine, 2018/Tagawa R ほか, Nutrition Reviews, 2021/Schoenfeld BJ, Aragon AA, Krieger JW, Journal of the International Society of Sports Nutrition, 2013/Messina M, Lynch H, Dickinson JM, Reed KE, International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism, 2018/Lim MT, Pan BJ, Toh DWK, Sutanto CN, Kim JE, Nutrients, 2021/Devries MC ほか, The Journal of Nutrition, 2018/Costello JT, Bieuzen F, Bleakley CM, European Journal of Sport Science, 2014/Zhou ほか, Frontiers in Nutrition, 2025/Jäger R, Kerksick CM, Campbell BI ほか, Journal of the International Society of Sports Nutrition, 2017

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女性はたんぱく質を1日何g摂ればいいのか