女性はたんぱく質を1日何g摂ればいいのか

「たんぱく質って、そんなに摂らないとダメなんですか」

日吉の体験トレーニングで、実際にうかがった言葉です。たんぱく質が大事らしいことはご存じの方がほとんどで、引っかかるのは量の話です。国の基準は1日50gなのに、ジムの世界では体重の2倍グラムという数字が飛び交っている。どれを信じればいいのか分からない、というのが正直なところでしょう。

先に結論を申し上げます。「1日50g」と「体重1kgあたり1.6g」は、答えようとしている問いが違います。前者は欠乏を防ぐ量、後者は減量中に筋肉を減らさない量です。以下、確認できた数字だけで見ていきます。

国の基準と、実際の摂取量

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(2024年)では、成人女性のたんぱく質の推定平均必要量は40g/日、推奨量は50g/日です。推奨量は18〜29歳から75歳以上まで、どの年代区分も50g/日で同じです。

変わるのは目標量(%エネルギー)です。

  • 18〜29歳・30〜49歳の女性:13〜20%エネルギー
  • 50〜64歳の女性:14〜20%エネルギー
  • 65〜74歳・75歳以上の女性:15〜20%エネルギー

年齢が上がるほど下限が上がります。同報告書には成人の維持必要量0.66g/kg体重/日と、65歳以上で1.2g/kg体重/日以上の摂取がサルコペニアやロコモティブシンドロームの予防に有効である可能性が記されています。耐容上限量は設定されていません。

押さえておきたいのは、推奨量50g/日が「ほとんどの人が不足しない量」であって「筋肉を増やすのに最適な量」ではない、という点です。では実際はどうか。令和5年(2023年)国民健康・栄養調査による女性の平均摂取量は、20代63.3g/日、30代62.4g/日、40代63.8g/日、女性総数で65.0g/日でした(男性総数は76.5g/日)。推奨量は上回っています。ただし平均が63gということは、下回る方も相当数いらっしゃるということです。体重50kgで63gなら1kgあたり約1.26g、次に見る水準には届きません。

減量中は、話が変わります

Wycherley らが American Journal of Clinical Nutrition 誌に2012年に発表したメタ解析は、エネルギー制限下の高たんぱく食と標準たんぱく食を比べた24件のRCT、1,063名を統合しました。高たんぱく群は1.25±0.17g/kg/日、標準群は0.72±0.09g/kg/日です。

結果、高たんぱく群のほうが体重で0.79kg、体脂肪量で0.87kg多く減り、除脂肪量は0.43kg多く残りました(それぞれ95%信頼区間 −1.50〜−0.08、−1.26〜−0.48、+0.09〜+0.78)。

劇的な差ではありません。ただ、同じ「マイナス5kg」でも脂肪が4kgか3kgかで、鏡に映る姿はかなり変わります。筋トレ併用時の目安は、Morton らが British Journal of Sports Medicine 誌に2018年に発表したメタ解析・メタ回帰です。49件のRCT、1,863名で除脂肪量の増加が頭打ちになる点を推定したところ、変曲点は1.62g/kg体重/日(95%信頼区間 1.03〜2.20)でした。これが「体重×1.6g」の出どころです。信頼区間が広いことは正直に書いておきます。絶対の正解ではなく、だいたいこのあたり、という推定です。

正直に書きます。女性だけの研究は、結果が割れています

上のメタ解析は、女性だけを取り出したものではありません。Campbell らが International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism 誌に2018年に発表した研究は、フィジーク競技を目指す女性17名を8週間の筋力トレーニングに参加させ、2.5g/kg/日と0.9g/kg/日を比較しました。除脂肪量の増加は高たんぱく群+2.1kg、低たんぱく群+0.6kgで有意差あり(p=0.009)。ただし17名という規模で、後年に同誌で訂正も出ています。

逆の結果もあります。Pearson らが European Journal of Applied Physiology 誌に2021年に発表した研究では、よく鍛えられた女性18名に40%のエネルギー制限を2週間かけ、1.7g/kg/日と0.9g/kg/日を比較しました。除脂肪量の変化は−0.1±0.7kg と −0.3±1.1kgでどちらもほぼ維持され、体脂肪量の減少も −0.9±0.4kg と −0.7±0.6kg で有意差なし。著者らは、鍛えられた男性で報告されてきた追加の保護効果は今回の女性では見られなかったと述べています。

ただし2週間・18名です。「女性にたんぱく質は不要」と読むのは行き過ぎで、「短期の強い制限では差が出にくいこともある」と読むのが妥当でしょう。女性を対象にした長期・大規模の試験が足りていない、というのが正直な現状です。

1食で何gまで使えるのか、どう配るのか

「1食20〜30gで頭打ち」という説の根拠は、Witard らが American Journal of Clinical Nutrition 誌に2014年に発表した研究です。筋力トレーニング経験のある男性48名にホエイプロテインを0g・10g・20g・40gで摂取させたところ、20gで最大刺激に達し、超えた分はアミノ酸酸化が増えたと報告されました。ここも正直に書きますが、その後この見解は揺らいでいます。

Macnaughton らが Physiological Reports 誌に2016年に発表した研究は、男性30名に全身のレジスタンス運動を行わせて20gと40gを比べ、筋たんぱく質合成は40gのほうが約20%高い(0.059±0.020%/時 対 0.049±0.020%/時)としました。Trommelen らが Cell Reports Medicine 誌に2023年に発表した研究では、男性36名で25gと100gを比較し、100g条件の合成速度が0〜4時間で約20%、4〜12時間で約40%高く、反応は12時間続きました。いずれも被験者は男性です。

配分については、Mamerow らが Journal of Nutrition 誌に2014年に発表したクロスオーバー試験があります。健康な成人8名(男性5名、女性3名)で総量を約90gにそろえ、均等配分(朝約31.5g・昼約30g・夕約33g)と偏り(朝約11g・昼約16g・夕約63g)を比べたところ、24時間の筋たんぱく質合成率は均等配分のほうが25%高い結果でした(p=0.003)。朝が10g前後で夕食に偏るのは、日本の食事では珍しくありません。

腎臓と、年齢のこと

Devries らが Journal of Nutrition 誌に2018年に発表したメタ解析は、健常成人を対象とした28件の研究、1,358名を統合しました。高たんぱく群の定義は1.5g/kg体重/日以上、またはエネルギー比20%以上です。結果、糸球体濾過量(GFR)の変化に両群で差はありませんでした(標準化平均差0.11)。

ただしこれはすべて健常者を対象とした話です。腎疾患のある方、腎機能の低下を指摘された方、たんぱく質制限を指示されている方は、この記事の数字を当てはめないでください。必ず主治医にご相談ください。

年齢については、Bauer らが Journal of the American Medical Directors Association 誌に2013年に発表した PROT-AGE Study Group のポジションペーパーが、65歳を超える方に1.0〜1.2g/kg体重/日と運動の併用を推奨しています。50代以降のたんぱく質と運動は、10年後20年後に歩けるかどうかの問題でもあります。

満腹感にも触れておきます。Leidy らが American Journal of Clinical Nutrition 誌に2015年に発表したレビューは、高たんぱく食の目安を1.2〜1.6g/kg体重/日、1食25〜30g以上としたうえで、満腹感の上昇は穏やかで、次の食事の摂取量が実際に減ったのは24件の試験のうち18%だけだったと報告しています。ただし食欲コントロールが悪化した研究はなく、長期の成否を分けるのは食事の遵守だと結論づけています。

では、何gにすればいいのか

体重55kgの女性なら、推奨量は50g/日、Leidy らの高たんぱく食の範囲(1.2〜1.6g/kg)なら66〜88g/日、Morton らの変曲点1.62g/kgなら約89g/日です。20代女性の平均が63.3g/日ですから、減量しながら筋肉を残したい方は20〜25gの上積みが現実的な目標になります。

日本食品標準成分表(八訂)では、鶏むね肉(皮なし・生)100gあたり23.3g、鶏卵(全卵・生)100gあたり12.2gです。卵1個の可食部はおよそ50gなので、卵1個で約6g。朝に卵を2個足して約12g、昼か夜に鶏むね肉を100g足して約23g。この2つだけで上積み分はほぼ埋まります。そして Mamerow らの結果をふまえるなら、夕食に全部乗せるより朝と昼に振り分けたほうが理にかなっています。

よくある質問

体重55kgですが、1日何gを目安にすればいいですか。

食事摂取基準(2025年版)の推奨量は成人女性で50g/日ですが、これは不足を防ぐ量です。減量中に筋肉を残したいなら、Morton らの変曲点1.62g/kg体重/日で約89g/日。鶏むね肉(皮なし)100gで23.3g、卵1個で約6gですから、逆算すると献立が見えてきます。

たんぱく質を摂りすぎると腎臓に悪いと聞きました。

Devries らのメタ解析(2018年)は28研究1,358名を統合し、1.5g/kg体重/日以上の高たんぱく群と対照群とで糸球体濾過量の変化に差がなかったと報告しています(標準化平均差0.11)。ただし対象は健常者です。腎疾患のある方や腎機能を指摘された方は、必ず主治医にご相談ください。

1回の食事で30g以上摂っても無駄になりますか。

Witard らは2014年に男性48名で20gを超えても合成が増えなかったとしましたが、Macnaughton らは2016年に全身運動後は40gが20gより約20%高いとし、Trommelen らは2023年に100gでも反応が12時間続いたとしています。無駄と言い切る根拠は乏しいと考えられます。

参考:日吉のCLEAN.の場合

CLEAN.は日吉駅西口から徒歩3分の、女性専用・完全個室のパーソナルジムです。男性は法人契約と、既存会員様からのご紹介のみとさせていただいています。ウェア・シューズ・タオル・水はすべて無料で貸し出すので、手ぶらで通えます。

たんぱく質の話は「何gが正解か」を決めて終わりではなく、毎日その量を食べられるかが本題です。そのため月額プランには、毎日のLINE食事指導と、10日ごとのフィードバックを含めています。Leidy らのレビューのとおり、最後は続けられるかどうかで結果が決まるからです。

料金は月4回コースが42,000円(税込46,200円)、月8回コースが72,000円(税込79,200円)。24回分の回数券は211,200円(税込232,320円)で有効期限180日、こちらにLINEの食事指導は含まれません。入会金は30,000円(税込33,000円)、これ以外の追加料金はありません。詳しくは3つのプランの違いと料金・プランのページをご覧ください。

なお、体調や持病に関わることは、まず受診をお願いしています。腎機能を指摘された方は、主治医のご判断を最優先にしたうえで、できることを一緒に考えます。

まとめ

推奨量50g/日は、不足を防ぐ下限です。日本人女性の平均は20代63.3g、30代62.4g、40代63.8g(令和5年国民健康・栄養調査)で、この下限は超えています。

減量中に除脂肪量を守る目的で見ると、Wycherley らのメタ解析(24RCT・1,063名)では高たんぱく群が体脂肪を0.87kg多く減らし、除脂肪量を0.43kg多く残しました。筋トレ併用時の頭打ちは Morton らのメタ解析(49RCT・1,863名)で1.62g/kg体重/日、体重55kgなら約89g/日です。ただし女性のみの試験は Campbell らと Pearson らで結果が割れており、断定はできません。

1食あたりの上限は、Witard らの20g説が Macnaughton らと Trommelen らに再検討され、はっきりした天井は示されていません。配分は Mamerow らが、総量が同じでも均等に3分割したほうが24時間の筋たんぱく質合成が25%高かったとしています。腎臓は Devries らのメタ解析で、健常者ではGFRの変化に差がありませんでした。腎疾患のある方は主治医にご相談ください。

実行面では、卵1個で約6g、鶏むね肉(皮なし)100gで23.3g。上積み20〜25gは卵2個と鶏むね肉100gでほぼ埋まります。特別なものを買い足さなくても届く距離だ、というのがいちばんお伝えしたいことです。

横浜近辺で日吉まで通うのが難しい方には、横浜のオンラインパーソナルトレーニング・オンライン食事指導(CLEAN.Online)をご案内しています。食事の記録と調整を中心に、ご自宅でできる形で組み立てます。

- CLEAN.

出典

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書, 2024/厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査結果の概要」, 2024/Wycherley TP ほか, American Journal of Clinical Nutrition, 2012/Morton RW ほか, British Journal of Sports Medicine, 2018/Campbell BI ほか, International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism, 2018/Pearson AG ほか, European Journal of Applied Physiology, 2021/Witard OC ほか, American Journal of Clinical Nutrition, 2014/Macnaughton LS ほか, Physiological Reports, 2016/Trommelen J ほか, Cell Reports Medicine, 2023/Mamerow MM ほか, Journal of Nutrition, 2014/Devries MC ほか, Journal of Nutrition, 2018/Bauer J ほか, Journal of the American Medical Directors Association, 2013/Leidy HJ ほか, American Journal of Clinical Nutrition, 2015/文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

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女性の1日の摂取カロリーの目安|年齢・活動量別の早見表(2025年版)