間食は悪なのか。やめるより先に決めること

「夕方のおやつだけ、どうしてもやめられません」

日吉の体験トレーニングで、実際にうかがった言葉です。この一行のあとに続くのは、たいてい同じ話です。朝も昼も気をつけている。夜も遅くしないようにしている。それでも15時から18時のあいだだけは崩れてしまう。だから自分は意志が弱いのだと、ご自身で結論を出してからいらっしゃる方が、とても多いのです。

この記事では、間食そのものが体重を増やす原因なのかどうかを、実際に開いて確認できた資料の範囲だけで整理します。先にお伝えしておくと、今回たどり着けた資料は多くありません。ですから、確認できたことは数字で書き、確認できなかったことは「確認できませんでした」とそのまま書きます。埋め合わせのために、それらしい数字を足すことはしません。そのうえで、やめるかやめないかを決める前に、先に決めておいたほうがいいことを提案します。

まず、確認できた一件から

今回いちばん中身まで確認できたのは、Schwingshackl らが Advances in Nutrition 誌に2020年に発表した、食事回数に関する系統的レビューとネットワークメタ分析です。3つのデータベースを2019年3月まで検索し、2週間以上続いたランダム化比較試験に限って集めています。対象になったのは22件の試験、参加者647人。比較された食事回数は1日1回から、8回以上までの幅があります。

この研究で大事なのは、比較が等エネルギー条件で行われている点です。つまり「1日に食べる総量は同じにしたうえで、それを何回に割るか」だけを変えています。間食の話をするときに、私たちが本当に知りたいのはここです。同じ量を3回で食べるのと、3回プラスおやつで食べるのとで、体は違う反応をするのか。この設計なら、その問いに答えられます。

正直に書きます。結果は、きれいには揃っていません

結果を、都合よくまとめずに書きます。この解析では、1日2回は、1日3回や1日6回と比べて、体重をわずかに減らす可能性が高いとされました。エビデンスの確実性は中程度と評価されています。腹囲についても、1日2回は1日6回より小さくなったと報告されています。ここだけを読むと、「回数は少ないほうがいい」という話に見えます。

ところが同じ解析で、エネルギー摂取量は食事回数の影響を受けなかったとも書かれています。そして著者自身の結論は、食事回数を減らすことが有益だという確かな根拠はほとんどない、というものでした。体重にはわずかな差が出たのに、著者は「回数を減らしましょう」とは言っていない。この食い違いを消さずに受け取るのが、いちばん誠実だと思います。差はあるかもしれないが、その差は生活を組み替えてまで取りにいくほど大きくも確かでもない、ということです。

この一件から言えるのは、間食という行為そのものが体重を押し上げる、とは確認できなかった、ということです。少なくとも総量が同じなら、回数の違いが生む差はごく小さい範囲にとどまっていました。

「食事回数を増やすと代謝が上がる」について

よく聞く説です。こまめに食べると代謝が落ちない、だから間食は味方だ、という話です。今回調べた範囲では、それを裏づける研究は見つかりませんでした。むしろ先ほどの22件・647人の解析では、総量が同じという条件のもとで、1日6回より1日2回のほうが体重も腹囲もわずかに小さい方向に出ています。回数を増やすことに、体重の面での利点は確認できませんでした。

ですから、代謝を上げるために間食を足す、という理由づけは、この記事では採りません。逆に、代謝が落ちるのが怖いから間食をやめられない、という悩み方も、今回の範囲では根拠を確認できていません。

間食の中身で、体の反応は変わります

回数ではなく中身のほうはどうか。今回確認できたのは、Törrönen らが Clinical Nutrition ESPEN 誌に2022年に発表した、ランダム化された単盲検クロスオーバー試験です。参加者は25人、平均年齢71.4歳(標準偏差4.6歳)。午前中の間食として、高たんぱくの乳製品ドリンク、またはエネルギーを強化したベリーのピューレ、およびそれぞれの対照食品をとってもらいました。いずれも利用可能な炭水化物が25グラムになるよう揃えてあります。

結果は、乳製品のほうがインスリン反応が高く、血糖の上がり方は抑えられた、というものでした。ベリーの製品は食後血糖が穏やかに保たれたと報告されています。同じ炭水化物25グラムでも、一緒に何が入っているかで、体の中で起きることは変わるわけです。

ただし、この研究の限界もそのまま書きます。対象は平均71歳の高齢者であり、女性の体づくりを想定した集団ではありません。見ているのは食後の血糖とインスリンであって、体重ではありません。ですから「たんぱく質を含む間食は太りにくい」とまでは、この研究からは言えません。言えるのは、間食を一括りにして良し悪しを決めるのは雑だ、ということだけです。

ここは、断定しないほうが誠実な領域です

今回の調査で、私が確かめたかったのに確かめられなかった論点があります。数を書きます。6つあります。

  • 間食を果物・ナッツ・乳製品と、菓子・甘い飲料に分けて比べた解析
  • たんぱく質を含む間食をとったあと、その後の食事量が実際に減るかを見たランダム化比較試験
  • 夜遅い時間の間食と体重の関係を、時間帯で分けて見た研究
  • 自制や抑制の強さと、反動的な過食との関係を扱った心理学の研究
  • 日本人が菓子類や甘味飲料からどれだけエネルギーをとっているかの公的データ
  • 間食を禁止する介入と、置き換える介入を直接比べた研究

いずれも、今回実際に開いて内容まで確認できた資料の中には、数字を書ける根拠がありませんでした。ですから書きません。夜のおやつが特に太るのかどうかも、抑制すると反動が来るのかどうかも、ここは、断定しないほうが誠実な領域です。

なお、書誌情報だけは確認できた系統的レビューが3件あります。Palacios らと Andres らが2024年に USDA Nutrition Evidence Systematic Review として発表した、食事と間食の頻度に関する2件のレビューと、Cooke らが同じく2024年に Obesity Reviews 誌に発表した、嗜好的な間食とエネルギー摂取・体重・食事の質に関するレビューです。タイトルと著者、掲載誌、年までは確認しました。ただし本文の数値までは確認できていないので、結果は引用しません。

やめるより先に、決めておくこと

ここからは研究の話ではなく、日吉の現場で私たちがお願いしていることです。根拠のある数字ではなく、運用の提案として読んでください。

まず、1日の総量を先に決めること。確認できた22件・647人の解析で、エネルギー摂取量が食事回数で変わらなかった以上、回数をいじっても総量が動かなければ意味が薄い、と考えるのが自然です。おやつを消すより、1日として何をどれだけ食べるかを決めるほうが先です。

次に、時間を決めること。「食べない」ではなく「15時に食べる」と決めるほうが、実行できる方が多いという印象があります。これは私たちの実感であって、研究で確かめた話ではありません。

そして、置き場所を決めること。夕方にどうしても手が伸びるなら、その時間に何を置いておくかを先に決めておく。炭水化物25グラムでも中身で反応が変わることが確認できている以上、何を置くかは考える価値があります。

最後に、記録を決めること。間食が問題かどうかは、記録を見ないと判断できません。禁止から始めると、記録に残らなくなります。記録に残らないものは、改善もできません。私たちが禁止をおすすめしない理由の、いちばん大きいものがこれです。

よくある質問

間食は、やめたほうが痩せますか。

今回確認できた22件・647人の等エネルギー比較では、エネルギー摂取量は食事回数で変わりませんでした。著者の結論も、回数を減らす利点の根拠はほとんどない、というものです。やめること自体より、1日の総量をどう決めるかが先だと考えています。

食事回数を増やすと代謝が上がりますか。

今回調べた範囲では、それを裏づける研究は見つかりませんでした。22件・647人の解析では、総量が同じなら1日6回より1日2回のほうが体重も腹囲もわずかに小さい方向で、回数を増やすことの利点は確認できていません。

夜遅い間食は、特に太りますか。

ここは、断定しないほうが誠実な領域です。今回実際に開いて確認できた資料の中に、時間帯と体重の関係を数字で示せるものはありませんでした。根拠がない以上こちらから断定はせず、まずは記録を見て判断しています。

参考:日吉のCLEAN.の場合

CLEAN.は、日吉駅 西口から徒歩3分の、女性専用・完全個室のパーソナルジムです。男性は法人契約と、既存会員様からのご紹介のみとさせていただいています。ウェア・シューズ・タオル・水はすべて無料で貸し出していますので、手ぶらでお越しいただけます。

間食については、禁止をお願いしていません。月額プランには毎日のLINE食事指導と、10日ごとのフィードバックが含まれます。LINEでは写真を送っていただいて内容を見ています。夕方のおやつも、写真で送っていただいてかまいません。10日ごとにまとめて振り返ると、その間食が本当に問題なのか、それとも別のところに原因があるのかが見えてきます。記録が残っていることが前提なので、隠す必要のない運用にしています。

料金は、月4回コースが42,000円(税込46,200円)、月8回コースが72,000円(税込79,200円)です。24回分の回数券は211,200円(税込232,320円)で、有効期限は180日、こちらにはLINEの食事指導は含まれません。入会金は30,000円(税込33,000円)で、これ以外の追加料金はいただいていません。3つのプランの違いと料金・プランのページもあわせてご覧ください。

食事の記録を毎日見てほしい方は月額プラン、ご自身で管理できる方は回数券、という選び方をしていただくことが多いです。間食で悩んでいる方には、記録のフィードバックが含まれる月額プランのほうが向いていると思います。

まとめ

今回いちばん確実に確認できたのは、22件の試験・647人を対象にした2020年のネットワークメタ分析でした。総量を揃えた条件で、1日1回から8回以上までの食事回数を比べた結果、エネルギー摂取量は回数の影響を受けませんでした。1日2回が1日3回や1日6回よりわずかに体重を減らす可能性は中程度の確実性で示されましたが、著者自身は、回数を減らすことが有益だという確かな根拠はほとんどない、と結論しています。

「食事回数を増やすと代謝が上がる」については、今回調べた範囲では、それを裏づける研究は見つかりませんでした。中身の違いについては、平均71.4歳の25人を対象に、利用可能な炭水化物を25グラムに揃えた比較で、乳製品とベリーで食後の反応が違うことが確認されています。ただしこれは血糖とインスリンの研究であって、体重の研究ではありません。

そして、確かめたかったのに確かめられなかった論点が6つ残りました。夜の時間帯、間食の質による分類、たんぱく質と後続の食事量、抑制と反動、日本の公的データ、禁止と置き換えの比較です。これらについては、数字を書きません。ここは、断定しないほうが誠実な領域です。

ですから私たちは、間食をやめてくださいとは言いません。1日の総量、食べる時間、置いておくもの、そして記録。この4つを先に決めていただくほうが、確認できた事実とも矛盾しませんし、10日ごとの振り返りで検証もできます。間食が悪なのかどうかは、決めつける前に、記録を見てから判断しましょう。

日吉まで通うのが難しい方には、オンラインのご案内もあります。横浜のオンラインパーソナルトレーニング・オンライン食事指導(CLEAN.Online)では、同じ考え方で食事の記録を見ています。間食についても、禁止からではなく記録から始めます。

- CLEAN.

出典

Schwingshackl L ほか, Advances in Nutrition, 2020/Törrönen R ほか, Clinical Nutrition ESPEN, 2022/Palacios C ほか, USDA Nutrition Evidence Systematic Review, 2024/Andres A ほか, USDA Nutrition Evidence Systematic Review, 2024/Cooke CB ほか, Obesity Reviews, 2024

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