ビタミンDと日光。日焼けを避ける生活で足りているのか

「日焼けしたくないので、日に当たらないようにしています」

日吉の体験トレーニングでうかがった言葉です。続けて「でも、ビタミンDが足りないと聞いて」とおっしゃいました。日焼け対策はしたい。骨や筋肉も気になる。この二つは引っ張り合います。その引っ張り合いを、確認できた数字だけで整理します。

先に射程をお伝えします。扱うのは、日本人女性のビタミンD不足の実態として確認できた調査、日光からの産生に必要な時間の試算、食事摂取基準(2025年版)の目安量と耐容上限量、そして骨折・筋力・転倒・体重に対する臨床試験の結論です。いずれも、実際に資料を開いて確認できた数値だけを書きます。

扱わないこともはっきりさせます。サプリメントの用量は書きません。公的な目安量と耐容上限量を紹介するだけにとどめ、飲むかどうかの判断は医師や薬剤師にご相談くださいとお伝えします。日焼け対策も否定しません。結論が割れている領域は、割れていると書きます。

日本の女性で、ビタミンDは足りているのか

足りているかどうかは、血中の25(OH)Dという物質の濃度で判定します。厚生労働省の食事摂取基準(2025年版)は、この濃度を20 ng/mL以上に維持することを前提に目安量を設定しています。

日本人女性についてまとまった報告として確認できたのが、高岡宣子ほかによる日本公衆衛生雑誌(2017年)の系統的レビューです。1963年から2015年までの18件の研究をまとめたもので、妊娠していない再生産年齢の女性を扱った22グループのうち、血中25(OH)D濃度の平均値が20 ng/mL未満だったのが10グループ(45.5%)、30 ng/mL未満だったのが21グループ(95.5%)でした。妊産褥婦を扱った8グループでは、妊娠初期の1グループを除くすべてで平均値が20 ng/mLを下回っていました。

もう一つ、折口秀樹・生山聡美による人間ドック誌(2023年)の報告です。2020年10月から2022年5月に健診で測定した87名(女性70名、平均年齢59±10歳)の内訳は、30 ng/mL以上の充足が6.9%、20〜30 ng/mL未満の不足が17.2%、10〜20 ng/mL未満の欠乏が57.5%、10 ng/mL未満の高度欠乏が18.4%でした。20 ng/mLを下回る人が75.9%を占めています。

正直に書きます。これらは健診の受診者や研究の参加者という、偏りのありうる集団です。「日本の女性の何%が欠乏している」と言い切れる全国調査は確認できませんでした。季節差についても、具体的な数値を確認できなかったので書きません。それでも、複数の独立した報告が同じ方向を向いていることは申し上げられます。

日光からは、どれくらいの時間で作られるのか

国立環境研究所と東京家政大学の研究チーム(中島英彰、宮内正厚ら)が、Journal of Nutritional Science and Vitaminology(2013年)で必要な時間を試算しています。前提は、顔と両手の甲を合わせた600 cm²を露出し、日本人の平均的な肌質(スキンタイプIII)で、5.5 µgをすべて皮膚で作る場合です。

結果は季節と場所で大きく変わりました。12月の正午では、札幌で76.4分、つくばで22.4分、那覇で7.5分。一方7月の正午では、札幌で4.6分、つくばで3.5分、那覇で2.9分でした。

読み方には注意が必要です。この試算が基準にする5.5 µgは現在の目安量8.5 µg/日より少ないので、目安量にそろえるならさらに時間がかかります。また、これは最も紫外線の強い正午の値で、朝や夕方なら長くなります。日吉そのものの試算値は確認できませんでしたので、具体的な分数は書きません。

食事からは、どこまで届くのか

食事摂取基準(2025年版)では、18歳以上の女性のビタミンDの目安量は年齢区分にかかわらず8.5 µg/日、成人の耐容上限量は100 µg/日です。

食品の含有量は、日本食品標準成分表の数値を今回確認できませんでしたので、日本の値は書きません。代わりに米国国立衛生研究所の資料で確認できた数値を挙げます。調理した紅ザケ85 gで14.2 µg、ニジマス85 gで16.2 µg、紫外線を当てたマッシュルーム1/2カップで9.2 µg、卵1個で1.1 µgです。

魚が飛び抜けて多く、きのこがそれに次ぎ、その他はかなり小さい、という並びです。減量中に魚を減らして鶏むね肉に寄せた食事は、たんぱく質は足りてもビタミンDが細くなりやすくなります。

骨と骨折。ここは結論が割れています

正直に書きます。ビタミンDのサプリメントが骨折を減らすかどうかは、期待されたほど明確な結果が出ていません。

米国国立衛生研究所の資料が紹介する大規模試験VITALでは、25,871人(平均年齢67.1歳、女性50.6%)に1日2,000 IU(50 µg)のビタミンD3を中央値5.3年投与しましたが、骨折全体も大腿骨近位部骨折も減りませんでした。別の系統的レビューでも、34,243人の高齢者に1日400〜800 IU以上を9か月から5年投与して、予防効果は認められていません。

ただし解釈には条件があります。VITALの参加者は開始時点で25(OH)D濃度が30 nmol/L未満だった人が2.4%、50 nmol/L未満が12.9%しかいませんでした。もともと足りている人が大半だったということです。ここから「欠乏している人を治療しても意味がない」とは結論できません。足りている人に上乗せする効果は乏しい、というところまでが言える範囲です。

筋力と転倒。トレーニングの代わりにはなりません

米国予防医学専門委員会は、地域で暮らす65歳以上について、ビタミンDの補充は転倒の件数も転倒によるけがも減らさない、と中程度の確信度で結論しています。筋力や筋機能への影響を調べた研究は、結果が一貫していないとされています。

筋力をつける手段としてサプリメントを期待するのは、順番が違います。筋力に最も確実に効くのは、負荷をかけて筋肉を使うことです。ビタミンDは不足していれば埋めるものですが、トレーニングの代替にはなりません。

体重と減量。効果は乏しい、というのが正直なところです

ここも正直に書きます。12件の補充試験のメタ解析では、カロリー制限を伴わないビタミンDの補充は、プラセボと比べて体重にも体脂肪量にも影響しませんでした。閉経後女性に1日400 IUのビタミンDと1,000 mgのカルシウムを補充した試験では体重増加がわずかに抑えられたと報告されていますが、米国国立衛生研究所の資料は全体として「ビタミンDを多く摂ること、サプリメントを摂ることは体重減少を促さない」とまとめています。

減量に効くから摂る、という理由づけは、現時点では支持されていません。気にする理由があるとすれば、体重ではなく骨や健康の土台としての話です。

摂りすぎたときに起きること

ビタミンDは脂溶性で、摂りすぎも問題になる栄養素です。食事摂取基準(2025年版)は成人の耐容上限量を100 µg/日と定め、過剰摂取による健康障害として高カルシウム血症、尿路結石、血清リンの高値を挙げています。米国国立衛生研究所の資料も、9歳以上の上限量を100 µg(4,000 IU)としています。

中毒の目安は、血中25(OH)D濃度が150 ng/mLを超える水準とされます。高カルシウム血症は血清総カルシウムが11.1 mg/dLを超える状態とされます(正常範囲は8.4〜10.2 mg/dL)。50 ng/mLを超える濃度も有害な影響と関連しうるとされています。

この記事では、サプリメントの用量はお伝えしません。始めるかどうか、どれだけ摂るかは、検査の結果と体の状態を見て決めることです。医師や薬剤師にご相談ください。持病のある方、薬を飲んでいる方は特にお願いします。

日焼け対策を、やめる必要はありません

ここまでの数字を並べても、「だから日に当たりましょう」という結論にはなりません。日焼け対策には理由があり、それを否定する材料をこちらは持っていません。産生量は季節と場所と時刻で大きく変わり、足りているかどうかは推測ではなく測定で分かります。二択で悩むより、食事の中身を見直し、気になるなら測る、という順番のほうが現実的です。

よくある質問

日焼け止めを塗っていると、ビタミンDは足りなくなりますか

日焼け止めの使用量とビタミンD濃度の関係を示す数値は、今回確認できませんでした。ただ、日本の報告では血中25(OH)D濃度が20 ng/mL未満の方が多く、人間ドック誌2023年の報告では87名中75.9%が該当しました。日焼け対策はそのままに、食事側を確認することをおすすめします。

ビタミンDのサプリメントは飲んだほうがいいですか

飲むかどうか、どれだけ飲むかは、この記事では申し上げません。公的な数値として、18歳以上女性の目安量は8.5 µg/日、成人の耐容上限量は100 µg/日です。過剰では高カルシウム血症などが起こりえます。開始と用量は、必ず医師や薬剤師にご相談ください。

ビタミンDを摂ると痩せますか

期待できる根拠は乏しいです。12件の試験をまとめたメタ解析では、カロリー制限を伴わないビタミンDの補充は、プラセボと比べて体重にも体脂肪量にも影響しませんでした。減量のためにビタミンDを摂る、という理由づけは、現時点では支持されていないとお考えください。

参考:日吉のCLEAN.の場合

CLEAN.は、日吉駅西口から徒歩3分の女性専用・完全個室のパーソナルジムです。男性は法人契約と、既存会員様からのご紹介のみとさせていただいています。ウェア・シューズ・タオル・水はすべて無料で貸し出していますので、手ぶらでお越しいただけます。

サプリメントの販売はしていません。この記事で用量を書かなかったのと同じ理由です。体調や持病に関わることは、まず受診をお願いしています。

そのうえで、できることは二つあります。一つは食事の中身を一緒に見ることです。月額プランには毎日のLINE食事指導と、10日ごとのフィードバックが含まれます。魚を食べる頻度や、減量中に何が削れているかは、毎日のやりとりで見えてきます。もう一つはトレーニングです。

料金は、月4回コースが42,000円(税込46,200円)、月8回コースが72,000円(税込79,200円)、24回分の回数券が211,200円(税込232,320円・有効期限180日/LINEの食事指導は含まれません)、入会金が30,000円(税込33,000円)です。これ以外の追加料金はありません。詳しくは3つのプランの違いと料金・プランのページをご覧ください。

まとめ

確認できたのは次の数字です。日本公衆衛生雑誌2017年の系統的レビューでは、妊娠していない再生産年齢女性の22グループのうち45.5%が平均20 ng/mL未満、95.5%が30 ng/mL未満でした。人間ドック誌2023年の報告では、87名(女性70名)のうち20 ng/mL未満が75.9%、充足は6.9%でした。いずれも全国を代表する無作為抽出の調査ではありません。

日光からの産生は季節と場所で大きく変わります。顔と両手の甲600 cm²を露出して5.5 µgを作る前提で、12月の正午なら札幌76.4分、つくば22.4分、那覇7.5分。7月の正午なら4.6分、3.5分、2.9分でした。一方、目安量は8.5 µg/日、耐容上限量は100 µg/日です。

効果については結論が割れています。25,871人に1日2,000 IUを5.3年投与したVITAL試験では骨折が減らず、34,243人を含むレビューでも予防効果は認められませんでした。転倒も65歳以上では減らさないとされ、体重は12試験のメタ解析でプラセボと差がありませんでした。ただしVITALでは開始時に50 nmol/L未満だった人が12.9%しかおらず、「足りている人への上乗せ」の話である点は差し引いて読む必要があります。

ですから、日焼け対策をやめる理由にも、サプリメントを急ぐ理由にもなりません。魚ときのこが食卓にどれくらい乗っているかを見直すこと、気になるなら測ること、筋力はトレーニングでつけること。この三つが、数字から言える範囲です。開始と用量の判断は、医師や薬剤師にご相談ください。

日吉まで通うのが難しい方には、横浜のオンラインパーソナルトレーニング・オンライン食事指導(CLEAN.Online)をご用意しています。食事の内容を画面越しに確認しながら、魚やきのこを含めた組み立てを整えられます。

- CLEAN.

出典

高岡宣子 ほか, 日本公衆衛生雑誌, 2017/折口秀樹・生山聡美, 人間ドック, 2023/中島英彰・宮内正厚 ほか(国立環境研究所・東京家政大学), Journal of Nutritional Science and Vitaminology, 2013/厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(脂溶性ビタミン), 2024/National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements, Vitamin D: Fact Sheet for Health Professionals(VITAL試験、米国予防医学専門委員会の勧告、体重に関するメタ解析、耐容上限量と中毒の記述を含む)

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