1日何歩歩けばいい?1万歩の根拠と、歩くだけで痩せるのか

「1日1万歩」は、健康のための目安として、いちばんよく知られている数字だと思います。体験トレーニングにお越しになる方からも、「毎日けっこう歩いているのに体重が変わらない」「仕事の日は数千歩しか歩けていない。これでは駄目ですか」という声をよく聞きます。

この記事では、1日何歩歩けばいいのか、そして歩くだけで痩せるのかを、研究と国のガイドの数字で整理します。歩くことの価値は大きいのですが、ダイエットの手段として見ると、期待しすぎないほうがいい部分もあります。両方を正直に書きます。

先に結論です

  • 「1万歩」に科学的な根拠があるわけではありません。1965年に日本で発売された歩数計「万歩計」の名前が由来と考えられています。
  • 健康のためには、1日7,000〜8,000歩前後で効果がほぼ頭打ちになる、という研究が増えています。60歳以上では6,000〜8,000歩、60歳未満では8,000〜10,000歩がひとつの目安です。国の目安も、成人8,000歩・高齢者6,000歩です。
  • 歩くだけで痩せる量は、小さめです。歩数計を使ったウォーキングの研究をまとめると、体重の減り方は平均で週0.05kgでした。体脂肪を落とすなら食事の調整が主役で、歩数はそれを支える役です。

以下、それぞれの根拠を順番に書きます。

「1万歩」はどこから来た数字か

2019年に米国医師会の内科誌(JAMA Internal Medicine)に載った研究の中で、著者たちは「1日1万歩という目標の由来ははっきりしない」と書いています。そのうえで、1965年に日本の山佐時計計器が発売した歩数計の商品名「万歩計」から来ている可能性が高い、としています。

この研究の筆頭著者であるI-Min Lee氏は、報道の取材に対して、1万歩という数字は「科学よりも、販売上の理由に基づくもの」だと話しています。

つまり、1万歩は研究で決まった数字ではなく、覚えやすくて切りのいい数字です。1万歩を歩くことが悪いわけではありません。ただ、「1万歩に届かないと意味がない」と考える必要はない、ということです。

研究では、何歩で効果が頭打ちになるのか

歩数と健康の関係は、歩数計(加速度計)を実際に体に着けてもらい、その後何年も追いかける研究で調べられています。代表的なものを3つ紹介します。

高齢女性 約1.7万人の研究(2019年)。上で触れたJAMA Internal Medicineの研究です。平均72歳の米国の女性16,741人に、腰に加速度計を7日間着けてもらい、平均4.3年追いかけました。その間に504人が亡くなっています。

  • いちばん歩数が少ないグループ(中央値 1日2,718歩)と比べて、1日4,363歩のグループでは、死亡率が約41%低い結果でした。
  • 歩数が多いほど死亡率は下がりましたが、1日約7,500歩で横ばいになりました。
  • 歩く速さ(強度)は、合計の歩数を考慮すると、死亡率とはっきりした関係がありませんでした。

15の研究・約4.7万人をまとめた解析(2022年)。英医学誌ランセットの公衆衛生誌(The Lancet Public Health)に載ったメタ解析です。成人47,471人のデータを、歩数で4つのグループに分けて比べました。

  • いちばん少ないグループ(中央値 1日3,553歩)と比べた死亡リスク:1日5,801歩で40%低い、7,842歩で45%低い、10,901歩で53%低い
  • リスクが下がり続けるのは、60歳以上では1日6,000〜8,000歩まで、60歳未満では1日8,000〜10,000歩までで、そこから先は横ばいでした。
  • ここでも、歩く速さが合計の歩数とは別に効いているという根拠は、一貫しませんでした。

57の研究をまとめたレビュー(2025年)。同じThe Lancet Public Healthに載った、より新しいレビューです。1日2,000歩の人と比べると、1日7,000歩の人では次のようにリスクが低いという結果でした。

  • 死亡:47%低い(1日1万歩とほぼ同じ)
  • 心臓・血管の病気の発症:25%低い
  • 認知症:38%低い
  • うつ症状:22%低い
  • 転倒:28%低い

著者らは、1日7,000歩を「現実的な目標」と表現しています。すでによく歩いている人にとって1万歩はよい目標だが、7,000歩を超えてからの上乗せは多くの項目で小さかった、とも述べています。

注意点もあります。これらはすべて観察研究で、「よく歩く人は、もともと健康な人が多い」という影響を完全には取り除けません。「この歩数を歩けば、これだけリスクが下がる」と約束する数字ではなく、目安として受け取ってください。

国の目安は「成人8,000歩、高齢者6,000歩」

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、次のように推奨しています。

  • 成人:歩行またはそれと同じ以上の強さの身体活動を、1日60分以上。1日約8,000歩以上に相当します。
  • 高齢者:同じく1日40分以上。1日約6,000歩以上に相当します。

8,000歩の内訳も書かれています。60分の歩行が約6,000歩、家事などの軽い生活活動が約2,000歩で、合わせて約8,000歩です。ここから逆算すると、1,000歩はおよそ10分の歩行にあたります。

同じガイドでは、1日の身体活動を10分増やすと、生活習慣病の発症や死亡のリスクが約3%下がると推測されています。また、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意すること、筋力トレーニングを週2〜3日行うことも、あわせて推奨されています。

研究で効果が頭打ちになる歩数と、国の目安は、ほぼ同じところにあります。

日本の女性は、実際に何歩歩いているのか

厚生労働省の「令和6年 国民健康・栄養調査」では、20歳以上の女性の1日の歩数の平均は6,495歩でした。年代別では次のとおりです。

  • 20〜29歳:7,414歩
  • 30〜39歳:6,667歩
  • 40〜49歳:7,259歩
  • 50〜59歳:7,526歩
  • 60〜69歳:6,852歩
  • 70歳以上:5,140歩

20〜64歳の女性の平均は7,287歩で、国の目安の8,000歩には700歩ほど届いていません。700歩は、歩く時間にすると7分くらいです。

ただし、この数字は年によってかなり動きます。前年の令和5年の調査では、20歳以上の女性の平均は5,659歩、20〜64歳で6,494歩でした。集計の方法も含めて年ごとに差があるので、「働く世代の女性は、だいたい6,500〜7,500歩くらい」と幅をもって見るのが妥当だと思います。

また、平均は毎日通勤する方も、在宅で働く方も混ざった数字です。通勤のある日とない日で、歩数が大きく変わる方も多いと思います。ご自分の数字は、スマートフォンの歩数の記録で確認できます。座る時間が長い働き方と体型の関係は、デスクワークの人が痩せにくい理由にまとめています。

歩くだけで痩せるのか

ここからが、ダイエットの話です。結論から言うと、歩くことだけで落ちる体重は、思っているより小さめです。

運動の習慣がなく、体重が重めの成人を対象に、歩数計を使ったウォーキングの研究9件・307人をまとめたメタ解析(2008年、Annals of Family Medicine)があります。食事の指導を組み合わせていない研究だけを集めたもので、結果は次のとおりでした。

  • 体重:平均−1.27kg
  • プログラムの長さ:4週間〜1年(中央値16週間)
  • 1週間あたりにすると:約0.05kg

歩数の増え方は、研究によって1日2,000歩弱から4,000歩以上まででした。著者は「歩数計を使ったウォーキングのプログラムでは、わずかな体重減少が得られる」とまとめ、期間が長いほど減る量も多い傾向がありました。

ほかの資料でも、方向は同じです。アメリカスポーツ医学会の公式見解(2009年)では、中くらいの強さの運動を週150〜250分行っても体重の減少は「わずか」にとどまり、はっきりした減量と結びつくのは週250分を超える量だとされています。週250分は1日あたり約36分、歩数にすると今より毎日3,500歩以上多く歩く量です。一方で、同じ見解では、週250分を超える運動は、落とした体重を保つのに役立つとされています。

歩くことは健康にとって大きな意味がありますが、体重を落とす手段としては、効き目がゆっくりです。運動しているのに体重が落ちないときの考え方は、運動しているのに痩せない理由でも書いています。

歩数を消費カロリーに直すと

なぜゆっくりなのかは、消費エネルギーを計算すると分かります。ここからの数字は、すべておおよその目安です。

研究者が世界中の測定値をまとめた「身体活動の消費エネルギー一覧(2024年版)」では、歩くことの強さは次の値になっています。

  • 散歩(楽しみのための歩行):3.5メッツ
  • ふつうの速さ(時速約4.5〜5.5km):3.8メッツ
  • 通勤・通学の歩行:4.0メッツ
  • 速歩き(時速約5.6〜6.3km):4.8メッツ

消費エネルギーは、おおよそ「メッツ × 体重(kg)× 時間」で計算できます。1,000歩を約10分とすると、体重50kgの方が散歩の速さで1,000歩歩いたときの消費は、3.5 × 50 × 1/6 ≒ 約29kcalです。

ただしこの数字には、座っていても使う分(1メッツ分)が含まれています。歩いたことで上乗せされる分だけを見ると、2.5 × 50 × 1/6 ≒ 約21kcalです。

  • 1日3,000歩増やす(約30分):上乗せは約60kcal
  • 1日6,500歩から1万歩に増やす(約35分):上乗せは約70kcal

1日60〜70kcalは、食事のちょっとした量の違いで簡単に上下する範囲です。歩くこと自体は続ける価値がありますが、歩数だけで体脂肪を大きく減らそうとすると、かなりの時間が必要になります。1日に落とせる脂肪の量の現実的な目安は、1日にどれくらい脂肪は落とせるのかにまとめています。

では、ダイエット中は何歩を目指せばいいのか

ここまでの数字から、私たちは次のように考えています。

  • まずは「今より1,000〜2,000歩」:1,000歩は約10分です。いきなり1万歩を目標にするより続きやすく、国のガイドの「1日10分増やす」にもそのまま当たります。
  • 目標は1日7,000〜8,000歩前後:健康の面での効果がほぼ頭打ちになるあたりで、国の成人の目安とも重なります。すでに1万歩歩けている方は、そのまま続けてください。
  • 減量の中心は食事:歩数は「食事で作ったマイナスを少し広げる」「落とした体重を戻しにくくする」役として考えます。
  • 筋トレを週2回:食事だけで体重を落とすと、筋肉も一緒に減りやすくなります。国のガイドでも、筋力トレーニングを週2〜3日行うことが推奨されています。

有酸素運動と筋トレの組み合わせ方はダイエットに有酸素運動は必要か、体脂肪が減る仕組みそのものは体脂肪が減るメカニズムでくわしく書いています。

歩数を増やすための、現実的な工夫

歩く速さについては、上で紹介した2つの研究のどちらでも、合計の歩数を考えると、速さそのものがはっきり効いているという結果は出ていませんでした。まずは「速く歩くこと」より「合計の歩数を増やすこと」を優先して大丈夫です。

  • エレベーターやエスカレーターより階段を使う
  • ひと駅分、またはひとつ先のバス停まで歩く
  • 座りっぱなしを30分ごとに区切って立ち上がる。国のガイドでは、長く座り続ける時間を30分ごとに区切ることが、心臓や代謝の病気のリスクを下げるうえで大切だという研究が紹介されています。
  • 電話は立って、できれば歩きながら
  • スマートフォンの歩数の記録を週に1回見て、「先週の平均より1日1,000歩多く」を目標にする

毎日決まった歩数を達成するより、週の平均で少しずつ増えていれば十分です。雨の日や忙しい日に歩数が少なくなっても、気にしすぎないでください。

参考:日吉のCLEAN.の場合

CLEAN.は、日吉駅 西口から徒歩3分、女性専用・完全個室のパーソナルジムです。行っているのは、ダンベルやマシンを使う筋トレと、毎日のLINEでの食事指導です。この記事で書いた「食事が中心、筋トレを週2回、歩数は少しずつ」を、そのまま形にしています。

体験トレーニングでは、最初に姿勢と動きを確認し、目的をうかがいます。ふだんどのくらい歩いているか、座っている時間がどのくらいあるかも、そのときに一緒に確認しましょう。

料金は月4回コースが42,000円(税込46,200円)、月8回コースが72,000円(税込79,200円)、入会金は30,000円(税込33,000円)です。体験トレーニングは約50分・5,000円(税込5,500円)で、ご入会された場合は無料になります。ウェア・シューズ・タオル・水はすべてお貸しするので、手ぶらで来ていただけます。

まとめ

「1日1万歩」は、1965年の歩数計の名前から広まったと考えられている数字で、研究で決まったものではありません。

健康のための歩数は、研究では1日7,000〜8,000歩前後で効果がほぼ頭打ちになり、国の目安も成人8,000歩・高齢者6,000歩です。日本の働く世代の女性の平均は、そこに少し届かないくらいです。

一方で、歩くことだけで落ちる体重は週0.05kgほどと小さめです。痩せたいなら、食事の調整を中心にして、筋トレを週2回、歩数は「今より1,000〜2,000歩」から増やしていく形が、研究の結果といちばん噛み合います。

- CLEAN.

出典

Lee IM ほか, JAMA Internal Medicine, 2019/Paluch AE ほか, The Lancet Public Health, 2022/Ding D ほか, The Lancet Public Health, 2025/Richardson CR ほか, Annals of Family Medicine, 2008/Donnelly JE ほか, Medicine & Science in Sports & Exercise, 2009(American College of Sports Medicine Position Stand)/Herrmann SD ほか, Journal of Sport and Health Science, 2024(2024 Adult Compendium of Physical Activities)/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」/厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要」「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」

1日何歩を目指すか、食事と筋トレをどう組み合わせるかは、今の生活と体の状態で変わります。まずは体験トレーニング(約50分)で、一緒に確認しましょう。→ 体験トレーニングの流れを見る

よくある質問

1日1万歩歩かないと、健康への効果はありませんか?

いいえ。1万歩は1965年に発売された歩数計の名前に由来すると考えられている数字で、研究で決まったものではありません。研究では、死亡リスクの低下は60歳以上で1日6,000〜8,000歩、60歳未満で1日8,000〜10,000歩あたりで頭打ちになり、1日7,000歩でも1万歩とほぼ同じ効果が見られています。国の目安は、成人で1日約8,000歩以上、高齢者で約6,000歩以上です。

歩くだけで痩せられますか?

食事を変えずに歩数計を使って歩いた研究をまとめると、体重の減少は平均で週約0.05kg、全体で約1.3kgでした。歩くことだけで大きく痩せるのは難しく、体脂肪を落とすなら食事の調整が中心です。歩数は、その効果を少し広げ、落とした体重を保つ助けとして考えるのが現実的です。

ダイエット中は1日何歩を目標にすればいいですか?

まずは今の歩数より1,000〜2,000歩(約10〜20分)多く歩くことから始め、1日7,000〜8,000歩前後を目標にするのがおすすめです。あわせて、食事の調整と週2回の筋トレを組み合わせると、筋肉を保ちながら体脂肪を落としやすくなります。

この記事は、日吉駅西口から徒歩3分・女性専用の日吉のパーソナルジム CLEAN. が書いています。

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