女性の骨密度は筋トレで上がるのか。閉経後でも遅くない理由と研究の数字

40代、50代の方の体験トレーニングで、「健康診断で骨密度が低めと言われた」「母が骨折してから、自分の骨も気になっている」というお話をうかがうことが増えました。そして、そのあとに続く質問はたいてい同じです。「筋トレで骨は強くなるんですか」「もう閉経しているけど、今からでも意味はありますか」。

この記事では、その質問に研究の数字で答えます。筋トレのジムが書く記事なので、筋トレに都合のいい話に寄せないよう、効果が小さいところ、まだ分かっていないところも、そのまま書きます。

先に結論です

  • 運動で骨密度は変わります。ただし変化の大きさは数%で、「骨が若いころに戻る」ほどではありません。いちばん大きいのは「減るはずだった骨を減らさない」効果です。
  • 骨に効きやすいのは、重さをかける筋トレです。閉経後で骨密度が低めの女性が、指導を受けながら高い負荷の筋トレを8か月続けた試験では、腰の骨密度が+2.9%、軽い運動のグループは−1.2%でした。
  • 閉経後からでも遅くありません。上の試験の参加者は平均65歳です。ただし、骨粗しょう症と診断されている方、骨折したことがある方は、始める前に必ず主治医に相談してください。

以下、それぞれの根拠を順番に書きます。

日本では、約980万人の女性が骨粗しょう症と推計されています

まず、どれくらいの人に関係する話なのかです。日本の地域住民を追跡しているROAD研究のデータを、国勢調査の人口に当てはめた推計では、40歳以上で骨粗しょう症にあたる人は約1,280万人、そのうち男性が約300万人、女性が約980万人でした。腰椎か大腿骨頸部(太ももの付け根)のどちらかで、骨密度が基準を下回った人を数えています。

女性は男性の3倍以上です。この推計は全国から無作為に選んだ調査ではなく、3つの地域の住民をもとにしているので、数字はあくまで目安として受け取ってください。

同じROAD研究では、2005〜2007年と2015〜2016年の調査を比べています。腰椎で骨粗しょう症にあたる女性の割合は19.2%から13.9%に下がり、70歳以上の女性で腰椎か大腿骨頸部のどちらかが骨粗しょう症にあたる割合も48.9%から38.8%に下がりました。良い方向に動いてはいますが、それでも70歳以上の女性のおよそ4割です。

骨密度は20代がピーク。閉経の前後で減り方が変わります

骨密度は一般に20歳代でピークを迎え、その後は少しずつ下がっていきます。女性の場合、ここに閉経が重なります。骨を新しく作る働きを支えている女性ホルモン(エストロゲン)が、閉経後に大きく減るためです。

アメリカ国立老化研究所(NIA)は、「閉経の時期に、女性は数年間にわたって骨量を急速に失うことがある。その後、減り方はゆっくりになるが、減り続ける」と説明しています。男性の骨の減り方はもっとゆるやかで、65〜70歳ごろには男女で同じペースになります。

つまり、女性の骨には「閉経の前後に、短い期間で一気に減る時期」があります。運動で骨を守ることを考えるなら、この時期をどう過ごすかが大事になります。体重や体型の変化も同じ時期に起きるので、気になる方は40代50代で体型が変わる理由もあわせて読んでみてください。

運動で骨密度はどれくらい変わるのか

閉経後の女性を対象にした運動の研究をまとめた、コクラン・レビュー(2011年)があります。ランダム化比較試験43件・4,320人を統合した結果は次のとおりです。いずれも、運動しなかったグループと比べた骨密度の変化率の差です。

  • 腰椎(背骨の腰の部分):運動したグループは、平均で0.85%骨の減りが少なかった
  • 腰椎で最も効果が大きかったのは、複数の種類を組み合わせた運動で、3.2%減りが少なかった
  • 大腿骨頸部:平均で1.03%減りが少なかった。最も効果があったのは、下半身を段階的に重くしていく筋トレのような「体重を支えない状態で大きな力を出す運動」

数字だけを見ると小さく感じるかもしれません。著者も「効果は比較的小さいが、統計的に有意で、意味のあるものかもしれない」と書いています。

骨折そのものについては、運動したグループで骨折した人は100人あたり7人、しなかったグループでは11人でしたが、この差は偶然でも起こりうる範囲で、統計的に意味のある差ではありませんでした。また、含まれた研究の多くは質が高いとは言えない、とも指摘されています。「運動をすれば骨折しなくなる」とまでは、まだ言えません。

骨に効いたのは「重さ」でした

では、どんな運動なら骨にもっとはっきり効くのか。ここで参考になるのが、オーストラリアのLIFTMOR試験(2018年)です。

骨密度が低め(Tスコアが−1.0未満)で、閉経から5年以上たった58歳以上の女性101人(平均65歳)を2つに分けました。一方は、週2回・1回30分、最大で持ち上げられる重さの85%以上で5回×5セットという高い負荷の筋トレに、衝撃を加えるトレーニングを組み合わせて、8か月行いました。種目はデッドリフト、スクワット、オーバーヘッドプレスと、懸垂のバーにジャンプでつかまってから着地する運動です。もう一方は、自宅での軽い運動です。

  • 腰椎の骨密度:高負荷グループ +2.9%、軽い運動グループ −1.2%
  • 大腿骨頸部の骨密度:高負荷グループ +0.3%、軽い運動グループ −1.9%
  • 大腿骨頸部の皮質骨(骨の外側の硬い部分)の厚さ:高負荷グループ +13.6%、軽い運動グループ +6.3%
  • 身長:高負荷グループ +0.2cm、軽い運動グループ −0.2cm

見てほしいのは、軽い運動のグループです。運動をしていたのに、腰椎も大腿骨頸部も骨密度が下がっています。骨に効いたのは「運動をしたこと」ではなく、「骨に十分な重さをかけたこと」でした。

椅子からの立ち上がりや、立って歩くテスト、背中と脚の筋力も、高負荷グループのほうがはっきり改善しました。8か月の間に起きた有害事象は、高負荷グループでの軽い腰のけいれん1件だけでした。

ただし、とても大事な前提があります。この試験は、専門家がすぐそばで付きっきりで指導した条件で行われています。いきなり85%の重さを持ったわけでもなく、最初の1か月は自分の体重や軽い重さで動きを覚え、そこから段階的に上げています。骨密度が低い方が、自己流で重いものを持ち上げるのはおすすめしません。

強さの違いで比べた研究もあります

同じ研究グループが、閉経後女性の運動の試験53件(63の運動プログラム)を、運動の強さ別に分けてまとめたメタ解析(2021年)もあります。

  • 腰椎:高い強度の運動は、中程度・低い強度よりも骨密度を大きく改善した
  • 大腿骨頸部:低い強度と中程度の強度は同じくらい効果があり、高い強度では効果が確認できなかった
  • 股関節全体:中程度の強度で改善し、低い強度では効果がなかった

結論として、著者らは「筋トレ(場合によっては衝撃を加える運動との組み合わせ)が、腰椎と股関節の骨に対して最も効果的な刺激と考えられる」としています。一方で、高い強度に分類された運動プログラムはまだ4つしかなく、データが少ないことも認めています。

正直にまとめると、「重いほど必ず良い」とまでは言えません。ただ、「軽すぎる運動だけでは骨には足りない」「負荷を少しずつ上げていく筋トレが中心になる」という方向は、どの研究でも一致しています。

何歳からでも遅くないのか

骨密度のピークは20代なので、40代以降に始めても「ピークの骨を取り戻す」ことはできません。ここは期待しすぎないでください。

そのうえで、遅すぎるということはありません。コクラン・レビューもLIFTMOR試験も、対象は閉経後の女性です。LIFTMOR試験の参加者は平均65歳で、もともと骨密度が低めの方たちでしたが、8か月で腰椎の骨密度が上がっています。

しかも、筋トレの効果は骨だけではありません。脚や背中の筋力、立ち上がりや歩く動きも良くなりました。骨折の多くは転倒がきっかけで起きるので、転びにくい体を作ることも、骨を守ることにつながります。

逆に言えば、閉経の前後に「何もしない」まま過ごすと、骨は減る一方です。LIFTMOR試験の軽い運動のグループでさえ、8か月で大腿骨頸部の骨密度が1.9%下がっていました。始めるのは早いほど有利で、いつ始めても意味はある、というのが研究から言えることです。

どんな運動を、どのくらいすればいいか

イギリスの骨粗しょう症の専門家たちがまとめた運動の合意声明(2022年)が、具体的な目安を示しています。

  • 筋トレ:週2〜3日。「8〜12回が限界」くらいの重さで、1種目3セットまで段階的に増やします。最初は軽い重さで、正しいフォームを覚えることから始めます。
  • 衝撃のある運動:背骨の骨折がない方は、かかとを踏み鳴らす、軽くジョギングする、小さく跳ねるなどの運動を、できれば毎日、1回あたり50回以上。高いところから飛び降りるような強すぎる衝撃は避けます。
  • バランスの運動:週2回以上。転倒を減らすためです。
  • 背中を伸ばす運動:週2回以上。姿勢を保ち、背骨を支えます。

同じ声明では、重さを持ったまま背中を大きく丸める動きは避け、物を持ち上げるときは背中をまっすぐにして股関節から曲げるよう勧めています。そのうえで、「運動が大きな害につながるという根拠は少なく、全体として利益がリスクを上回る」と結論づけています。

日本の目安も、筋トレの頻度は同じです。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人と高齢者に筋トレを週2〜3日行うことを推奨しています。マシンやダンベルだけでなく、腕立て伏せのような自分の体重を使う運動も筋トレに含まれます。

ウォーキング、水泳、ピラティスは骨に効くのか

ウォーキング。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、骨粗しょう症の予防にはウォーキングや筋トレのように「骨に刺激が加わる運動」が勧められています。軽いダンベルを持って歩くなど、少し負荷を足すのも一つの方法です。ただ、LIFTMOR試験の結果を見ると、軽い運動だけでは骨密度の低下を止めきれないこともあります。歩くことは土台として続けつつ、筋トレを週2回足すのがおすすめです。

水泳。体への負担が少ないのが良いところですが、骨にとっては重力がかかりにくい運動です。体重の負荷が少ない水泳選手は、陸上で競技する選手より骨密度が低いといわれています。泳ぐのが好きな方は、それとは別に筋トレの日をつくると安心です。

ピラティス。イギリスの合意声明では、バランスを鍛えて転倒を減らす運動の例にピラティスも挙がっています。ただ、器具を使わないマットのピラティスでは、LIFTMOR試験のような重さは骨にかかりません。くわしくはピラティスと筋トレの比較にまとめています。

骨粗しょう症と診断されている方、骨折したことがある方へ

ここは必ず読んでください。

骨粗しょう症と診断されている方、治療中の方、骨折したことがある方は、運動を始める前に、必ず主治医に相談してください。e-ヘルスネットでも、定期的に骨密度を確認したうえで運動すること、骨折の経験や腰痛などがある場合は整形外科医に相談してから運動することが勧められています。

イギリスの合意声明でも、背骨を骨折したことがある方には、衝撃のある運動は早歩き程度まで(1日20分、週150分を目安)にとどめるよう、慎重な目安が示されています。一方で、骨密度の数字だけを理由に運動を必要以上に制限すべきではない、とも書かれています。どこまでなら安全かは人によって違うので、主治医と相談しながら決めるのがいちばん確実です。

また、運動は薬の代わりにはなりません。治療を受けている方は、薬を続けながら、医師の許可の範囲で運動を組み合わせてください。

食事と日光も、骨の材料です

筋トレで骨に刺激を与えても、材料が足りなければ骨は作られません。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、カルシウムの1日の推奨量は30〜74歳の女性で650mgです。カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、日光を浴びることで体の中でも作られます。くわしくはビタミンDと日光の関係をご覧ください。

なお、閉経後の体重増加が気になって食事を極端に減らすと、骨に必要な栄養まで減ってしまいます。体重の変化については閉経後に体重が増える理由に書いています。

参考:日吉のCLEAN.の場合

比較の材料になるよう、当ジムがどうしているかも書いておきます。

CLEAN.は、日吉駅 西口から徒歩3分、女性専用・完全個室のパーソナルジムです。行っているのは、ダンベルやマシンを使う筋トレと、毎日のLINEでの食事指導です。この記事で書いた「週2回、少しずつ負荷を上げる筋トレ」と「骨の材料になる食事」を、トレーナーがそばについて行います。

骨が気になる方には、スクワットやデッドリフトのように、背骨と股関節に重さがかかる種目を中心に組み立てます。最初は軽い重さでフォームを覚え、背中を丸めずに持ち上げる動きが身についてから、少しずつ重さを上げていきます。スクワットのフォームについては女性のためのローバースクワットでも解説しています。

骨粗しょう症と診断されている方、骨折の経験がある方は、主治医の許可を得てからお越しください。体験の時点で医師の判断が必要だと感じた場合は、そのままお伝えします。

料金は月4回コースが42,000円(税込46,200円)、月8回コースが72,000円(税込79,200円)、入会金は30,000円(税込33,000円)です。体験トレーニングは約50分・5,000円(税込5,500円)で、ご入会された場合は無料になります。ウェア・シューズ・タオル・水はすべてお貸しするので、手ぶらで来ていただけます。

まとめ

日本では約980万人の女性が骨粗しょう症と推計されています。骨密度は20代がピークで、女性は閉経の前後に骨が急速に減る時期があります。

運動で骨密度は変わりますが、変化は数%です。骨に効きやすいのは、重さを段階的に上げる筋トレで、閉経後・平均65歳の女性でも、指導のもとで8か月続けて腰椎の骨密度が+2.9%になりました。軽い運動だけのグループは、運動していても骨密度が下がっていました。運動で骨折が減るかどうかは、まだはっきりしていません。

何歳から始めても意味はあり、目安は「筋トレを週2〜3日」です。ただし、骨粗しょう症と診断されている方、骨折したことがある方は、始める前に必ず主治医に相談してください。

- CLEAN.

出典

Yoshimura N, Nakamura K, Clinical Reviews in Bone and Mineral Metabolism, 2016/Yoshimura N ほか, Journal of Bone and Mineral Metabolism, 2022(ROAD study 2005–2015)/公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「骨粗鬆症とは」/National Institute on Aging「Osteoporosis」/Howe TE ほか, Cochrane Database of Systematic Reviews, 2011/Watson SL ほか, Journal of Bone and Mineral Research, 2018/Kistler-Fischbacher M ほか, Bone, 2021/Brooke-Wavell K ほか, British Journal of Sports Medicine, 2022/厚生労働省 e-ヘルスネット「骨粗鬆症予防のための運動 -骨に刺激が加わる運動を」(真田樹義)/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」/厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」

骨のために筋トレを始めたいけれど、どのくらいの重さから始めればいいか分からない。そんな方は、まず体験トレーニング(約50分)で、今の体の状態を一緒に確認しましょう。→ 体験トレーニングの流れを見る

よくある質問

骨密度は筋トレで本当に上がりますか?

上がることはありますが、変化は数%です。骨密度が低めの閉経後女性が、指導のもとで高い負荷の筋トレを週2回・8か月続けた試験では、腰椎の骨密度が+2.9%、軽い運動だけのグループは−1.2%でした。若いころのピークに戻るほどではなく、いちばん大きいのは「減るはずだった骨を減らさない」効果です。

閉経後、60代からでも筋トレは遅くありませんか?

遅くありません。骨密度が上がったLIFTMOR試験の参加者は、閉経後の平均65歳の女性でした。筋力や立ち上がり・歩く動きも良くなっています。ただし、骨粗しょう症と診断されている方や骨折したことがある方は、始める前に必ず主治医に相談してください。

骨のためには、どんな運動をどのくらいすればいいですか?

目安は、重さを少しずつ上げていく筋トレを週2〜3日です。イギリスの専門家の合意声明では、8〜12回が限界くらいの重さで、1種目3セットまで段階的に増やすことが勧められています。ウォーキングは土台として続けつつ、筋トレを足すのがおすすめです。水泳は骨に重力がかかりにくい運動です。

この記事は、日吉駅西口から徒歩3分・女性専用の日吉のパーソナルジム CLEAN. が書いています。

前へ
前へ

食べる順番(ベジファースト)は本当に効く?血糖値と体重の研究

次へ
次へ

1日何歩歩けばいい?1万歩の根拠と、歩くだけで痩せるのか