ピラティスと筋トレ、痩せたいならどっち?研究で分かっている違いを正直に比べました
日吉駅のまわりには、ここ数年でピラティスのスタジオが一気に増えました。体験トレーニングにお越しになる方から「ピラティスと筋トレ、どちらがいいですか」と聞かれることも、目に見えて増えています。
この記事では、その質問に、研究の数字で答えます。私たちは筋トレのジムなので、筋トレに有利な話だけを並べることもできます。でも、それでは比較の材料になりません。ピラティスのほうが向いている場面も、正直に書きます。
先に結論です
- 体重と体脂肪を落としたいなら、筋トレと食事の組み合わせのほうが、研究の結果がそろっています。
- 筋肉を増やして見た目のメリハリを作りたい、骨を強くしたいなら、重さを扱う筋トレです。ピラティスでは、筋肉の量(除脂肪量)が増えたという結果が出ていません。
- 腹筋の持久力、腰痛、運動を始めるきっかけなら、ピラティスもよい選択です。ただし腰痛について「ほかの運動より優れている」という結論は出ていません。
以下、それぞれの根拠を順番に書きます。
1時間で消費するエネルギーは、ピラティスのほうが少なめです
運動の強さは「メッツ(METs)」という単位で表します。安静に座っている状態が1メッツで、その何倍のエネルギーを使うかを示す数字です。研究者が世界中の測定値をまとめた「身体活動の消費エネルギー一覧(2024年版)」では、次の値になっています。
- ピラティス(伝統的なマット):1.8メッツ
- ピラティス(一般):2.8メッツ
- ヨガ(ハタヨガ):2.3メッツ
- 筋トレ(複数の種目を8〜15回ずつ):3.5メッツ
- 筋トレ(スクワット・デッドリフト):5.0メッツ
- 筋トレ(高重量・強い努力):6.0メッツ
消費エネルギーは、おおよそ「メッツ × 体重(kg)× 時間」で計算できます。体重50kgの方が60分行うと、マットのピラティスで約90kcal、一般的なピラティスで約140kcal、筋トレで約175〜300kcalです。なお、この一覧にはマシン(リフォーマー)を使うピラティス専用の項目は見当たりませんでした。
ただ、ここは大きく受け取らないでください。1回あたりの差は100kcal前後で、食事の量で簡単に上下する範囲です。運動の種類を選ぶ決め手は、消費カロリーではなく、次に書く「体の中身がどう変わるか」のほうです。
ピラティスで体重は減るのか。研究の結果は割れています
まず、ピラティスに有利な結果からです。過体重・肥満の成人を対象にしたランダム化比較試験11件・393人を統合したメタ解析(2021年)では、ピラティスを行ったグループで次の変化がありました。
- 体重:−2.40kg
- BMI:−1.17
- 体脂肪率:−4.22%
一方で、同じ解析の中で、除脂肪量(筋肉などの脂肪以外の重さ)は±0.00kg、ウエストも有意な変化はありませんでした。体脂肪率の結果は研究ごとのばらつきがとても大きく(I²=88%)、比べた相手は「何もしないグループ」と「ほかの運動」が混ざっています。著者自身も、より大規模でしっかりした試験が必要だと書いています。
次に、逆の結果です。健康な成人を対象に、マットのピラティスと、ほかの運動や何もしないグループを比べた10件の研究をまとめたメタ解析(2020年)では、BMI・除脂肪量・体脂肪率・腹囲のいずれについても、ピラティスがほかの方法より効果的だという結果は出ませんでした。高齢者、成人、過体重の人に分けて見ても同じでした。
まとめると、「体重が重めの人が、何もしないよりはピラティスをしたほうが減る」ところまでは言えます。「ほかの運動よりピラティスのほうが痩せる」とは言えません。
筋トレのほうは、筋肉を増やしながら脂肪を落とした結果がそろっています
過体重・肥満の人を対象にした筋トレのランダム化比較試験114件・4,184人を統合したメタ解析(2022年)があります。結果は次のとおりでした。
- 筋トレだけ(運動なしと比べて):体脂肪率 −1.6%、体脂肪量 −1.0kg、除脂肪量 +0.8kg
- 筋トレ + 食事でのカロリー調整(何もしないグループと比べて):体脂肪率 −3.8%、体脂肪量 −5.3kg、除脂肪量は維持
この結果は、年齢や性別を問わず一貫していました。筋トレだけだと体重の数字は大きく動きませんが、脂肪が減って筋肉が増えるので、中身が入れ替わります。食事を組み合わせると脂肪が大きく落ち、しかも筋肉は減りません。食事だけで落とすと筋肉まで削られやすいので、ここが筋トレを組み合わせるいちばんの理由です。
18〜35歳の健康な女性に絞った研究もあります。40本の論文・1,312人をまとめたメタ解析(2024年)では、筋トレによって筋肉量、筋力、体脂肪率のいずれも有意に改善しました。そして、トレーニングの量が多いほど、筋肉量・筋力・体脂肪率の改善が大きい傾向がありました。
ピラティスのメタ解析で除脂肪量が±0だったことと並べると、違いがはっきりします。「同じ体重なのに見た目が違う」の正体は、この除脂肪量の差です。
骨を強くしたいなら、重さが必要です
女性は閉経の前後から骨密度が下がりやすくなります。ここで参考になるのが、オーストラリアのLIFTMOR試験(2018年)です。
骨密度が低めの閉経後女性101人(平均65歳)を2つに分け、一方は週2回・1回30分、最大で持ち上げられる重さの85%以上で5回×5セットという高負荷の筋トレと衝撃トレーニングを8か月行いました。もう一方は、自宅での軽い運動です。
- 腰椎の骨密度:高負荷グループ +2.9%、軽い運動グループ −1.2%
- 大腿骨頸部の骨密度:高負荷グループ +0.3%、軽い運動グループ −1.9%
軽い運動のグループは、運動をしていても骨密度が下がっています。骨に効いたのは「運動をしたこと」ではなく、「重さをかけたこと」でした。器具を使わないマットのピラティスでは、この重さはかかりません。
大事な補足です。この試験は、専門家が付きっきりで指導した条件で行われています。骨密度が低い方が自己流で重いものを持つのはおすすめしません。また、骨粗しょう症の治療中の方は、主治医の判断を優先してください。
ピラティスが得意なこと
ここからは、ピラティスのほうに分がある話です。
腹筋の持久力。健康な人を対象にした9件のランダム化比較試験をまとめたメタ解析(2016年)では、週2〜3回、5〜12週間のピラティスで、腹筋の持久力が運動なしと比べて有意に改善しました。1分間の上体起こしで、平均して約10回多くできるようになる程度の差です。一方で、柔軟性には有意な差が出ませんでした。
腰痛。腰痛へのピラティスを調べたコクラン・レビュー(2015年、10件・510人)では、何もしない・最小限の対応と比べると、痛みと生活の支障が改善するという、質が低〜中程度の根拠がありました。ただし、ほかの運動と比べてピラティスのほうが優れているという決定的な根拠はなく、「どの運動を選ぶかは、本人の好みと費用で決めてよい」とまとめられています。
体幹の安定。60〜80歳の女性で、ピラティスと筋トレを18週間(週2回・1時間)比べた試験(2019年)では、股関節と体幹を伸ばす力(静止した状態で出す力)はピラティスのほうが伸び、動きの中で出す力(等速性筋力)は筋トレのほうがよく伸びました。立ち上がって歩くテスト(動きの中でのバランス)は、どちらも同じくらい改善しています。
運動の習慣がまったくない方が、まず体を動かすことに慣れる入口としても、ピラティスは始めやすい選択肢です。
国の目安は「筋トレを週2〜3日」
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人に対して筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨しています。ここでいう筋力トレーニングは「負荷をかけて筋力を向上させるための運動」で、マシンやダンベルのほか、スクワットや腕立て伏せのような自分の体重を使う運動も含まれます。
あわせて、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上、歩行と同じかそれ以上の強さの身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上)が目安です。ピラティスを続けている方も、どこかで「負荷をかけて筋力を上げる日」を週2日つくると、この目安を満たせます。
目的別に、どちらを選ぶか
- 体重・体脂肪を落としたい:筋トレ + 食事。ピラティスだけでは、ほかの運動より落ちるという根拠がありません。
- ヒップ、二の腕、くびれなど見た目を変えたい:筋トレ。形を変えるのは除脂肪量で、ピラティスでは増えたという結果が出ていません。
- 40代以降で、骨が気になる:指導者のもとで、段階的に重さを上げる筋トレ。
- 腰痛があり、まずは痛みを減らしたい:ピラティスも筋トレも選択肢です。続けやすいほうを、医師と相談のうえで。
- 運動経験がほとんどなく、まず習慣をつけたい:ピラティスは入口として向いています。慣れてきたら週2日の筋トレを足すのがおすすめです。
両方を組み合わせるのも、もちろんよい方法です。その場合は、週2回の筋トレを土台にして、ピラティスを週1回足す形が、上の研究の結果といちばん噛み合います。
「筋トレをするとゴツくなる」が心配な方へ
ピラティスを選ぶ理由として、いちばんよく聞くのがこれです。女性は男性に比べて筋肉を太くするホルモンが少なく、週2回の筋トレで見た目がゴツくなることは、まずありません。上の女性のメタ解析でも、筋トレで起きたのは体脂肪率の低下と筋肉量の増加で、どちらも「引き締まる」方向の変化です。くわしくはムキムキになりすぎないためのトレーニング法と筋肉をつけるのに男女で差は有るの?にまとめています。
参考:日吉のCLEAN.の場合
比較の材料になるよう、当ジムがどうしているかも書いておきます。
CLEAN.は、日吉駅 西口から徒歩3分、女性専用・完全個室のパーソナルジムです。ピラティスのレッスンは行っていません。行っているのは、ダンベルやマシンを使う筋トレと、毎日のLINEでの食事指導です。この記事で書いた「筋トレ + 食事」と「週2回」を、そのまま形にしています。
体験トレーニングでは、最初に姿勢と動きを確認し、目的をうかがいます。腰痛の改善がいちばんの目的で、重さを扱うことに抵抗がある方には、ピラティスのスタジオのほうが合うこともあります。その場合は、そのままお伝えします。
料金は月4回コースが42,000円(税込46,200円)、月8回コースが72,000円(税込79,200円)、入会金は30,000円(税込33,000円)です。体験トレーニングは約50分・5,000円(税込5,500円)で、ご入会された場合は無料になります。ウェア・シューズ・タオル・水はすべてお貸しするので、手ぶらで来ていただけます。
まとめ
ピラティスで体重が減るという研究はありますが、ほかの運動より痩せるという根拠はなく、筋肉の量(除脂肪量)は増えていません。
筋トレは、筋肉を増やしながら脂肪を落とす結果がそろっていて、食事と組み合わせると体脂肪量が約5kg落ち、筋肉は維持されます。骨密度を上げたのも、重さをかけた筋トレでした。
ピラティスは、腹筋の持久力、腰痛、運動の入口として価値があります。どちらか一方を選ぶなら目的で決め、迷ったら「週2回の筋トレ」を土台にしてください。国の目安もそこにあります。
- CLEAN.
出典
Herrmann SD ほか, Journal of Sport and Health Science, 2024(2024 Adult Compendium of Physical Activities)/Wang Y ほか, Frontiers in Physiology, 2021/de Souza Cavina AP ほか, Journal of Physical Activity and Health, 2020/Lopez P ほか, Obesity Reviews, 2022/Molinari T ほか, Journal of Strength and Conditioning Research, 2024/Watson SL ほか, Journal of Bone and Mineral Research, 2018/Campos RR ほか, Journal of Sports Medicine and Physical Fitness, 2016/Yamato TP ほか, Cochrane Database of Systematic Reviews, 2015/Carrasco-Poyatos M ほか, PeerJ, 2019/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
ピラティスと筋トレ、どちらが自分に合うかは、目的と今の体の状態で変わります。まずは体験トレーニング(約50分)で、一緒に確認しましょう。→ 体験トレーニングの流れを見る
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よくある質問
ピラティスだけで痩せられますか?
体重が重めの方が、何もしない場合と比べて体重・体脂肪率が下がったという研究はあります。ただ、健康な成人では、ほかの運動より効果的だという結果は出ていません。体脂肪を落とすいちばん確かな方法は、食事の調整と筋トレの組み合わせです。
マシンピラティス(リフォーマー)なら筋トレの代わりになりますか?
スプリングで負荷をかけて筋力を上げる運動であれば、国のガイドでいう「筋力トレーニング」に近い要素はあります。ただ、マシンピラティスで筋肉量や骨密度がどれだけ増えるかを、重さを使う筋トレと直接比べた結果は、この記事で紹介した研究からは分かりません。重さを段階的に上げられる筋トレと同じとは考えないほうが安全です。
ピラティスと筋トレ、両方やるならどう組み合わせればいいですか?
週2回の筋トレを土台にして、ピラティスを週1回足す形がおすすめです。国のガイドの「筋トレ週2〜3日」を満たしつつ、ピラティスの得意な腹筋の持久力や体幹の安定も取り入れられます。
この記事は、日吉駅西口から徒歩3分・女性専用の日吉のパーソナルジム CLEAN. が書いています。