体験トレーニングにお越しになる方から、「お腹まわりだけがどうしても落ちない」「健康診断で腹囲を指摘された」という相談をよく受けます。40代、50代の方からは「若いころは下半身太りだったのに、最近はお腹が出てきた」という声も多く聞きます。
この記事では、内臓脂肪をどう落とすかを、研究の数字と国の資料をもとに整理します。はっきりしていることと、まだはっきりしていないことは分けて書きます。
先に結論です
- 内臓脂肪はお腹の中(内臓のまわり)、皮下脂肪は皮膚のすぐ下につく脂肪です。健康への影響が大きいのは内臓脂肪のほうです。
- メタボリックシンドロームの診断で使う腹囲の基準は女性90cm以上・男性85cm以上です。どちらも「内臓脂肪の面積100cm²以上」に相当する数字です。
- 女性は閉経をきっかけに内臓脂肪が増えやすくなります。閉経した女性だけ内臓脂肪がはっきり増えた、という追跡調査があります。
- 内臓脂肪をいちばん確実に減らすと分かっているのは、中くらい以上の強さの有酸素運動です。体重があまり減らなくても、内臓脂肪は減ることがあります。
- 食事では、日本人のデータで体重の3%の減量から健診の数値がそろって改善していました。
- 腹筋運動でお腹の脂肪だけを落とすことはできません。
以下、それぞれの根拠を順番に書きます。
内臓脂肪と皮下脂肪は、つく場所と性質が違います
お腹の脂肪には2種類あります。皮膚のすぐ下にあって指でつまめるのが皮下脂肪、腹筋のさらに内側、胃や腸などの内臓のまわりにつくのが内臓脂肪です。
公益財団法人長寿科学振興財団の解説では、内臓脂肪がたまる肥満は「リンゴ型」「ビール腹型」、皮下脂肪がたまる肥満は「洋ナシ型」と呼ばれ、内臓脂肪型のほうが、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などを起こしやすいとされています。大きくなった内臓脂肪の細胞から、糖尿病や高血圧の原因になる物質(アディポサイトカイン)が出ることが分かり、そこからメタボリックシンドロームという考え方が生まれました。
同じ解説によると、おへその高さのCT画像で測った内臓脂肪の面積が100cm²以上になると、それ未満の人より、あわせて持っている病気の数が約50%多いという結果があり、これが「内臓脂肪が多すぎる」かどうかの線引きになっています。
女性はもともと皮下脂肪が多めですが、閉経のころから内臓脂肪のつき方が変わります(後述)。お腹まわりから太りやすい方は、リンゴ型に要注意。上半身だけ太ってしまう人の特徴と対策もあわせて読んでみてください。
腹囲90cmは「内臓脂肪100cm²」の目安です
内臓脂肪を正確に測るにはCTなどが必要なので、健康診断では代わりに腹囲を測ります。
2005年に日本肥満学会、日本動脈硬化学会など8つの学会がまとめたメタボリックシンドロームの診断基準では、腹囲(おへその高さのウエスト)が男性85cm以上、女性90cm以上を「内臓脂肪がたまっている」状態としています。どちらも内臓脂肪の面積100cm²以上に相当(男女とも)とされています。そのうえで、次の3つのうち2つ以上にあてはまると、メタボリックシンドロームと診断されます。
- 血中脂質:中性脂肪150mg/dl以上、またはHDLコレステロール40mg/dl未満
- 血圧:上が130mmHg以上、または下が85mmHg以上
- 血糖:空腹時血糖110mg/dl以上
(いずれも、その治療のための薬を飲んでいる場合も含みます。)
「なぜ女性のほうが基準が大きいのか」とよく聞かれます。長寿科学振興財団の解説では、女性は皮下脂肪が多いため、同じ内臓脂肪の面積でも腹囲が5cm大きくなるからだと説明されています。女性の基準が甘いわけではありません。
腹囲と内臓脂肪の面積の関係は、女性1,178人のデータで相関係数0.79と、かなり強い関係です。ただし完全に一致するわけではないので、腹囲はあくまで目安です。
家で測るときは、立った姿勢で、お腹に力を入れず、軽く息を吐いたところで、おへその高さで測ります。女性ではおへその高さといちばん細いところとで平均約7cmの差があるので、細いところで測ると小さい数字が出てしまいます。
閉経のころから、内臓脂肪が増えやすくなります
アメリカで、閉経前の健康な女性156人を4年間、毎年測り続けた研究があります(2008年、International Journal of Obesity)。4年のあいだに閉経した51人と、閉経しなかった人を比べています。
- お腹の皮下脂肪は、閉経したかどうかに関係なく、全員で増えていました。
- 内臓脂肪がはっきり増えたのは、閉経した女性だけでした。体重と体脂肪全体が増えたのも、閉経したグループだけです。
- 身体活動量は、閉経の2年前から下がり始め、その後も低いままでした。
- 一部の女性(34人)で測ったエネルギー消費では、寝ている間の消費量の下がり方が、閉経したグループで−7.9%、閉経していないグループで−5.3%でした。脂肪を燃やす量(脂肪酸化)は、閉経したグループで32%下がっていました。
著者たちは、閉経そのものが内臓脂肪の増加に関係し、生活習慣を変えなければ太りやすくなる、とまとめています。
「閉経したから仕方ない」ではなく、「同じ生活のままだと内臓脂肪が増えやすい時期」と受け取ってください。加齢と閉経の影響の分け方は、更年期に体重が増えるのはなぜか。閉経と加齢を分けて考えるでくわしく書いています。
運動:有酸素運動は、体重があまり減らなくても内臓脂肪を減らします
内臓脂肪と運動の関係は、研究がかなりそろっています。
有酸素運動の効果は、はっきりしています。過体重の成人を対象に、CTやMRIで内臓脂肪を測った15件の研究(運動したグループ852人)をまとめたメタ解析(2013年、PLoS One)では、運動で内臓脂肪が有意に減りました。いちばん安定して効果が出ていたのは中くらい〜高い強度の有酸素運動で、低い強度では有意な効果が出ていません。面積に直すと、女性では平均約37cm²の減少でした。しかもこれは、カロリーを制限する食事を組み合わせなくても出た効果です。
35件の研究をまとめた別のメタ解析(2012年、Obesity Reviews)でも、著者たちは「内臓脂肪を減らす運動では、有酸素運動が中心になる」と結論しています。
体重が減らなくても、内臓脂肪は減ることがあります。117件・4,815人の研究をまとめたメタ解析(2016年、Obesity Reviews)では、食事も運動も内臓脂肪を減らしましたが、中身が少し違っていました。
- 体重を大きく減らしたのは、食事のほうでした。
- 内臓脂肪は、運動のほうがよく減る傾向がありました(統計的にははっきりしない差です)。
- 体重が減らなかった場合で比べると、運動では内臓脂肪が6.1%減り、食事ではほとんど変わりませんでした(1.1%)。
体重計の数字が変わらなくても、お腹の中では変化が起きている可能性があります。
どのくらいやればいいか。日本の研究者が16件の試験をまとめた系統的レビュー(2007年、International Journal of Obesity)では、内臓脂肪を減らすには、早歩き、軽いジョギング、エアロバイクなどの有酸素運動を少なくとも週10メッツ・時行うことが必要だろう、とされています。厚生労働省のガイドでは歩行の強さを3メッツとしているので、単純に計算すると、歩くなら週3時間20分ほど(1日30分弱)です。ただし、この関係がはっきり出たのは、糖尿病などの代謝の病気がない人に限った場合でした。有酸素運動と筋トレをどう組み合わせるかは、ダイエットに有酸素運動は必要か。筋トレとの順番と配分にまとめています。
筋トレは内臓脂肪に効くのか。正直に書きます
私たちは筋トレのジムですが、ここは研究の結果をそのまま書きます。
上の2012年のメタ解析では、筋トレだけでは、内臓脂肪の有意な減少は見られませんでした。2013年のメタ解析では筋トレでも有意な効果が出ていますが、ぎりぎりの結果(p=0.049)で、研究ごとのばらつきがとても大きいものでした。また、有酸素運動に筋トレを足しても、内臓脂肪の減り方が大きくなるという結果は出ていません。
内臓脂肪だけが目的なら、有酸素運動のほうが根拠はしっかりしています。それでも筋トレを勧めるのは、減量中に筋肉まで減らさないこと、体の形を変えること、筋力を保つことが目的に入るからです。厚生労働省のガイドでも、有酸素の運動とは別に、筋力トレーニングを週2〜3日行うことが勧められています。「有酸素運動で内臓脂肪、筋トレで筋肉」と、役割を分けて考えるのが、研究と噛み合った考え方です。
食事:まずは体重の3%から
食事で摂るエネルギーを減らして体重を落とせば、内臓脂肪も減ります。上の2016年のメタ解析でも、食事による減量で内臓脂肪は有意に減っていて、食事では体重の減り方と内臓脂肪の減り方がよく一致していました。脂肪が減る仕組みそのものは、体脂肪が減るメカニズムで説明しています。
では、どのくらい落とせばいいのか。日本の特定保健指導のデータを使った研究(2014年、Obesity Research & Clinical Practice)があります。肥満症またはメタボリックシンドロームの3,480人(平均48歳)が6か月の生活改善プログラムに参加し、体重の減り方と11項目の検査値の変化を調べました。
- 体重が1〜3%減った人:中性脂肪、HbA1c、肝機能など11項目中7項目が改善
- 体重が3〜5%減った人:血圧、空腹時血糖、尿酸も加わり、11項目すべてが改善
著者たちは、3%の減量が健康リスクを改善するための最低ラインだとまとめています。体重60kgの方なら1.8kgです。いきなり10kg落とす必要はありません。
もうひとつ、知っておくとよいことがあります。61件の研究をまとめた系統的レビュー(2008年、International Journal of Obesity)では、減量が小さいうちは、皮下脂肪より内臓脂肪のほうが割合として多く減る傾向がありました。減量が大きくなるにつれて、この差は小さくなります。著者たちは、少しの減量でも代謝の数値がよくなる理由のひとつかもしれない、と書いています。
一方で、内臓脂肪だけを狙って落とせる方法は見つかっていません。89件の研究をまとめた2017年のメタ解析でも、食事・運動・薬・手術のどれも、内臓脂肪だけを優先的に減らすものではないと結論されています。
睡眠:短すぎる睡眠と内臓脂肪の増加に関連があります
アメリカの1,107人(6割が女性)を5年間追いかけた研究(2010年、SLEEP)では、40歳未満の人で、睡眠時間と内臓脂肪の増え方に関係がありました。睡眠が6〜7時間の人と比べて、5年間の増え方は次のとおりです。
- 睡眠5時間以下:内臓脂肪が13cm²、皮下脂肪が42cm²多く増えた
- 睡眠8時間以上:内臓脂肪が6cm²、皮下脂肪が20cm²多く増えた
短すぎても長すぎても増えやすい、という結果です。ただし、40歳以上では、睡眠時間と脂肪の変化に有意な関係は見られませんでした。また、睡眠時間は本人の申告で、対象はアフリカ系とヒスパニック系の人たちです。関連があったという段階ですが、睡眠を削って運動の時間をつくるのはおすすめしません。
お酒:女性は1日20gが目安です
厚生労働省の資料では、女性は1日あたりの純アルコール量が平均20g以上になると、生活習慣病のリスクが高まるとしています(男性は40g以上)。女性はアルコールを分解する酵素の働きが男性より弱く、体の水分量も少ないため、影響を受けやすいからです。20gは、ビール(5%)なら500ml、ワイン(14%)なら約180mlです。
カロリーの面では、アルコールは1gあたり7.1kcalあります。20gなら約140kcalで、ここにおつまみが加わります。
では、お酒そのものが内臓脂肪を増やすのか。アメリカの6,756人を対象にした2023年の研究(Journal of the American Heart Association)では、1日2杯を超えて飲む人で、心臓のまわりや肝臓の脂肪は多くなっていましたが、内臓脂肪については、飲まない人との差ははっきりしませんでした。研究としては、お酒と内臓脂肪の関係はまだ決着がついていない、というのが正直なところです。
お酒と体重の関係はお酒を辞めるだけで痩せられる理由で書いています。
腹筋運動で、お腹の脂肪だけを落とすことはできません
「お腹を引き締めたいから腹筋を毎日やっています」という方は多いです。でも、鍛えた場所の脂肪が優先して減る(部分痩せ)という結果は、研究では出ていません。
運動習慣のない18〜40歳の24人を対象にした試験(2011年、Journal of Strength and Conditioning Research)では、7種類の腹筋運動を2セット×10回、週5日・6週間続けました。食事は体重が変わらない量にそろえています。結果は、体重、体脂肪率、お腹まわりの脂肪、腹囲、お腹の皮下脂肪の厚さのどれも有意に変わりませんでした。一方で、上体起こしの回数は、運動したグループで47回、しなかったグループで32回と、腹筋の持久力ははっきり伸びています。
脚で確かめた試験もあります(2013年、Journal of Strength and Conditioning Research)。11人が片脚だけで、軽い重さのレッグプレスを1回960〜1,200回、週3回・12週間続けました。体脂肪は全身で5.1%減りましたが、減ったのは腕(−10.2%)と体幹(−6.9%)で、鍛えた脚ではありませんでした。
腹筋運動で上がるのは筋力と持久力です。お腹の脂肪を落とすのは、全身の運動と食事の役割です。
参考:日吉のCLEAN.の場合
比較の材料になるよう、当ジムがどうしているかも書いておきます。
CLEAN.は、日吉駅 西口から徒歩3分、女性専用・完全個室のパーソナルジムです。行っているのは、ダンベルやマシンを使う筋トレと、毎日のLINEでの食事指導です。この記事で書いたとおり、内臓脂肪そのものに対しては有酸素運動のほうが根拠がしっかりしています。筋トレの日以外に歩く時間をどう増やすかも、一緒に考えます。
体験トレーニングでは、最初に姿勢と動きを確認し、目的をうかがいます。健診で数値の異常を指摘されている方や、治療中の方は、主治医の判断を優先してください。
料金は月4回コースが42,000円(税込46,200円)、月8回コースが72,000円(税込79,200円)、入会金は30,000円(税込33,000円)です。体験トレーニングは約50分・5,000円(税込5,500円)で、ご入会された場合は無料になります。ウェア・シューズ・タオル・水はすべてお貸しするので、手ぶらで来ていただけます。
まとめ
内臓脂肪はお腹の中につく脂肪で、皮下脂肪より健康への影響が大きいとされています。腹囲の基準の女性90cmは、内臓脂肪の面積100cm²に相当する目安です。女性は閉経のころから、内臓脂肪が増えやすくなります。
内臓脂肪を減らす方法として根拠がいちばんそろっているのは、中くらい以上の強さの有酸素運動で、体重があまり減らなくても内臓脂肪は減ることがあります。食事では体重の3%の減量から健診の数値が改善し、小さな減量の段階では内臓脂肪のほうが減りやすい傾向があります。
腹筋運動でお腹の脂肪だけを落とすことはできません。有酸素運動を週3時間強、食事で体重の3%、筋トレを週2回、睡眠を削らず、お酒は1日20gまで。地味ですが、これが研究から言える内臓脂肪の落とし方です。
- CLEAN.
出典
メタボリックシンドローム診断基準検討委員会(日本肥満学会・日本動脈硬化学会ほか8学会)「メタボリックシンドロームの診断基準」2005(厚生労働省 審議会資料に掲載)/公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「腹囲の基準は、なぜ85cm?」/Lovejoy JC ほか, International Journal of Obesity, 2008/Vissers D ほか, PLoS One, 2013/Ismail I, Keating SE, Baker MK, Johnson NA, Obesity Reviews, 2012/Verheggen RJHM ほか, Obesity Reviews, 2016/Ohkawara K, Tanaka S, Miyachi M, Ishikawa-Takata K, Tabata I, International Journal of Obesity, 2007/Muramoto A ほか, Obesity Research & Clinical Practice, 2014/Chaston TB, Dixon JB, International Journal of Obesity, 2008/Merlotti C ほか, International Journal of Obesity, 2017/Hairston KG ほか, SLEEP, 2010/Kazibwe R ほか, Journal of the American Heart Association, 2023/Vispute SS ほか, Journal of Strength and Conditioning Research, 2011/Ramírez-Campillo R ほか, Journal of Strength and Conditioning Research, 2013/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」/厚生労働省「あなたが決める、お酒のたしなみ方(女性編)」/厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールのエネルギー」
お腹まわりをどう落としていくかは、今の生活と体の状態で変わります。まずは体験トレーニング(約50分)で、一緒に確認しましょう。→ 体験トレーニングの流れを見る
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よくある質問
内臓脂肪と皮下脂肪、どちらが先に落ちますか?
61件の研究をまとめた系統的レビューでは、減量が小さいうちは、皮下脂肪より内臓脂肪のほうが割合として多く減る傾向がありました。減量が大きくなるにつれて、この差は小さくなります。ただし、内臓脂肪だけを狙って落とせる食事や運動は見つかっていません。
腹筋運動を続ければ、お腹の脂肪は落ちますか?
腹筋運動だけでは落ちません。週5日・6週間の腹筋運動を行った試験では、腹囲もお腹の脂肪も有意に変わりませんでした。腹筋の持久力は上がるので意味はありますが、お腹の脂肪を落とすのは、有酸素運動を含む全身の運動と食事の役割です。
体重が減っていないのに、内臓脂肪は減っていることはありますか?
あります。117件の研究をまとめたメタ解析では、体重が減らなかった場合でも、運動では内臓脂肪が6.1%減っていました。体重計の数字だけで判断せず、おへその高さの腹囲もあわせて記録すると、変化に気づきやすくなります。
この記事は、日吉駅西口から徒歩3分・女性専用の日吉のパーソナルジム CLEAN. が書いています。