ストレッチで痩せる?消費カロリーと、ストレッチに期待していいこと

体験トレーニングにお越しになる方から、「運動は苦手なので、ストレッチで痩せられたらうれしいのですが」と相談されることがあります。動画を見ながら、毎晩ストレッチを続けている方も少なくありません。

この記事では、ストレッチの消費カロリーはどれくらいなのか、ストレッチに何を期待していいのかを、研究と公的な資料をもとに整理します。CLEAN.ではパーソナルストレッチも行っていますが、だからこそ、できることとできないことを分けて書きます。

先に結論です

  • ストレッチの強度は、身体活動の強度をまとめた国際的な一覧表で2.3メッツです。2011年版でも、2024年の最新版でも同じ値です。
  • 体重55kgの女性が30分ストレッチをすると、消費は約63kcal、安静にしていた場合の分を引くと約36kcalです。ストレッチだけで体脂肪を減らすのは、現実的ではありません。
  • ストレッチではっきり期待できるのは、体がやわらかくなる(関節の動く範囲が広がる)ことです。77本の研究をまとめたメタ解析で、中くらいの効果が確認されています。
  • ストレッチで筋肉が太くなる・筋力が上がる効果は、あっても小さいです。研究者自身も、できるなら筋トレを優先したほうが効率的だと書いています。
  • 運動の直前に1か所60秒以上の長いストレッチをすると、直後の力や瞬発力が少し下がることがあります。短めなら、影響は小さいです。
  • 血圧や血管のかたさが改善したという研究もありますが、研究の数はまだ少なく、結論を出すには早い段階です。
  • ストレッチは、体を楽にして運動を続けやすくする「補助役」です。痩せるための主役は、食事と、筋トレや歩くことです。

以下、それぞれの根拠を順番に書きます。

ストレッチの消費カロリーは、どれくらいか

運動の強さは「メッツ」という単位で表します。静かに座っている状態を1メッツとして、その何倍のエネルギーを使うかを示す数字です。

世界中の研究で使われている身体活動の強度の一覧表に、Compendium of Physical Activities があります。2011年版でも、2024年に出た改訂版でも、「ストレッチ(ゆったり)」は2.3メッツです。2024年版の日本語訳でも同じ値です。参考までに、2024年版ではハタヨガが2.3メッツ、ピラティス(全般)が2.8メッツです。

体重55kgの女性で計算してみます

消費エネルギーは、おおよそ「メッツ × 時間 × 体重(kg)」で計算できます。ただしこの数字には、何もしなくても使う安静時の分も含まれています。運動で上乗せされた分だけを見たいときは、メッツから1を引いて計算します。

活動(30分)メッツ消費の合計安静時の分を引くと
ストレッチ(ゆったり)2.3約63kcal約36kcal
ピラティス(全般)2.8約77kcal約50kcal
普通の速さの歩行3.0約83kcal約55kcal

歩行の3メッツは、厚生労働省の資料をもとにした横浜市の解説で「普通歩行(犬の散歩程度)」として紹介されている値です。

ストレッチを30分しても、上乗せされる消費は40kcal弱です。よく使われる「脂肪1kgはおよそ7,000kcal」という目安で単純に計算すると、毎日30分のストレッチで脂肪1kg分を使うには、200日近くかかります。体は計算どおりには動かないので、あくまで大きさのイメージとして見てください。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人に3メッツ以上の身体活動を週23メッツ・時以上、筋力トレーニングを週2〜3日行うことをすすめています。2.3メッツのストレッチは、この「3メッツ以上」には入りません。

はっきり期待できること:体がやわらかくなる

ストレッチの効果で、いちばん根拠がそろっているのは柔軟性です。

2024年のメタ解析(Journal of Sport and Health Science)は、健康な人を対象にした77本の研究をまとめました。ストレッチを続けた人は、しなかった人と比べて、関節の動く範囲が広がり、効果の大きさは中くらいでした。

  • じっと伸ばす静的ストレッチや、PNFと呼ばれる方法は、反動をつけたり動きながら伸ばしたりする方法より、効果が大きめでした。
  • 女性のほうが、男性より伸びやすいという結果も出ています。
  • ストレッチの時間や強さ、回数を増やしても、効果がはっきり大きくなるわけではありませんでした。

痛いほど強く伸ばしたり、長時間がんばったりする必要はなさそうだ、ということです。肩こりや腰痛のケアとして、ストレッチとマッサージ、運動をどう使い分けるかは肩こり・腰痛のケア。ストレッチとマッサージと運動の使い分けで書いています。

ストレッチで筋肉はつくのか:効果はあっても小さい

「ストレッチでも筋肉がつくなら、代謝も上がるのでは」と聞かれることがあります。

2024年のメタ解析(Sports Medicine - Open)は、42本のランダム化試験、のべ1,318人のデータから、静的ストレッチを続けたときの筋力と筋肉の大きさの変化を調べました。

  • 筋力も筋肉の大きさも、増えてはいましたが、効果の大きさは「小さい」という結果でした。
  • 1回の時間が長い、期間が長い、頻度が高いといった条件でも、効果は小さいままでした。時間が短い場合は、はっきりした差が出ませんでした。

著者たちは、ストレッチは筋トレの代わりになりうるとしつつも、効果は小さく、かける手間のわりに得られる変化が少ないので、できるなら効率のよい筋トレを優先したほうがよい、とまとめています。

体を引き締めたい、筋肉を落とさずに痩せたい、という目的なら、ストレッチより筋トレのほうが近道です。ピラティスとの比べ方はピラティスと筋トレ、痩せたいならどっち?をどうぞ。

運動の前のストレッチは、逆効果なのか

「筋トレの前にストレッチをすると力が出なくなる」という話を聞いたことがある方もいると思います。これは半分本当です。

2016年のレビュー(Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism)では、ストレッチの直後に測った力や瞬発力の変化は、平均で次のとおりでした。

  • じっと伸ばす静的ストレッチ:3.7%の低下
  • 動きながら伸ばす動的ストレッチ:1.3%の向上
  • 静的ストレッチを1か所60秒以上行った場合は4.6%の低下、それより短い場合は1.1%の低下

多くの研究は、ストレッチの3〜5分後にすぐ測っていて、ストレッチの後に体を動かす準備運動を入れていませんでした。準備運動を入れた研究では、はっきりした影響は見られていません。けがの予防については、静的ストレッチではっきりした効果は確認されていません。一方で、どの種類のストレッチでも、関節の動く範囲は広がっていました。

短めのストレッチなら、そこまで神経質になる必要はありません。ただ、長く伸ばすのは、運動の前より後に回すほうが無難です。

血圧や血管への影響:期待はあるが、まだ途中

ストレッチと血管の関係も、少しずつ研究されています。

2021年のメタ解析(International Journal of Sports Medicine)は、ストレッチと心臓・血管の反応を調べた16本の研究をまとめました。ストレッチで血管のかたさの指標と心拍数が下がったという結果です。一方で著者たちは、ストレッチで血管がどう変わるのかについての研究は、まだ足りないとも書いています。

2021年には、血圧が高めの40人(平均61歳)を対象にした試験(Journal of Physical Activity and Health)もあります。全身のストレッチと早歩きを、どちらも1日30分・週5日・8週間続けてもらいました。大学の発表によると、血圧はストレッチのほうが大きく下がり、お腹まわりの脂肪は、早歩きのほうが多く減りました。研究者は、歩くことにも別の良さがあるので、やめないでほしいと話しています。

人数の少ない試験ひとつなので、これだけで「血圧にはストレッチ」とは言えません。血圧の薬を飲んでいる方は、主治医の判断を優先してください。

それでもストレッチがダイエットの役に立つ場面

ここからは研究というより、現場で感じていることです。

ストレッチの役割は、痩せることそのものより、体を動かしやすくして、運動を続ける助けになることだと考えています。

  • 体のこわばりがとれて、動くのがおっくうでなくなる方がいます。
  • 股関節や足首が動きやすくなると、スクワットなどのフォームを練習しやすくなることがあります。
  • 寝る前の数分のストレッチを「1日の区切り」にして、生活のリズムを整える方もいます。

ただ、「ストレッチで代謝が上がる」「脂肪が燃える」といった説明は、今回確認した研究では支えられていません。ストレッチをがんばった日に、食事や歩く量がゆるんでしまうと、差し引きでは逆になることもあります。

筋トレとの組み合わせ方

研究から考えると、次の順番がおすすめです。

  1. 痩せるための中心は、食事と、筋トレや歩くことです。厚生労働省のガイドでも、筋力トレーニングは週2〜3日がすすめられています。
  2. 筋トレの前は、軽く体を動かす準備運動を中心にします。静的ストレッチを入れるなら、1か所あたり短めにします。
  3. 長めのストレッチは、筋トレの後やお風呂上がりなど、別のタイミングに回します。
  4. 柔軟性のためのストレッチは、痛くない強さで、続けることを優先します。長さや強さを増やしても、効果がはっきり大きくなるわけではありません。

週に何回筋トレをすればいいかは、女性の筋トレは週何回がいい?で書いています。

参考:日吉のCLEAN.の場合

比較の材料になるよう、当ジムがどうしているかも書いておきます。

CLEAN.は、日吉駅 西口から徒歩3分、女性専用・完全個室のパーソナルジムです。行っているのは、ダンベルやマシンを使う筋トレと、毎日のLINEでの食事指導です。体のこわばりが気になる方向けに、パーソナルストレッチも行っています。

ただ、この記事で書いたとおり、ストレッチで痩せるとはお約束できません。痩せることが目的の方には、筋トレと食事を中心にご提案し、ストレッチは体を動かしやすくするための補助として考えています。

体験トレーニングでは、最初に姿勢と動きを確認し、目的をうかがいます。体がかたくて筋トレが不安な方も、動ける範囲から始めます。

まとめ

ストレッチの強度は2.3メッツで、体重55kgの女性が30分行っても、上乗せされる消費は40kcal弱です。ストレッチだけで体脂肪を減らすのは、現実的ではありません。

ストレッチではっきり期待できるのは、体がやわらかくなることです。筋肉や筋力への効果は小さく、運動の直前に長く伸ばすと、力が少し出にくくなることがあります。血圧や血管への効果は、研究が進んでいる途中です。

痩せるための主役は食事と、筋トレや歩くこと。ストレッチは、その運動を気持ちよく続けるための補助役として使うと、いちばん無理がありません。

- CLEAN.

参考文献

Ainsworth BE ほか, Medicine & Science in Sports & Exercise, 2011(2011 Compendium of Physical Activities)/Herrmann SD, Willis EA, Ainsworth BE ほか, Journal of Sport and Health Science, 2024(2024 Adult Compendium of Physical Activities、日本語訳を含む)/公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「運動強度とエネルギー消費量」/横浜市保土ケ谷区「「メッツ」「メッツ・時」とは」/全国健康保険協会 千葉支部の資料(日本糖尿病学会 編『糖尿病治療ガイド2018-2019』より)/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」/Konrad A, Alizadeh S, Daneshjoo A ほか, Journal of Sport and Health Science, 2024/Warneke K, Lohmann LH, Behm DG ほか, Sports Medicine - Open, 2024/Behm DG, Blazevich AJ, Kay AD, McHugh M, Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism, 2016/Thomas E, Bellafiore M, Gentile A ほか, International Journal of Sports Medicine, 2021/Ko J, Deprez D, Shaw K ほか, Journal of Physical Activity and Health, 2021(University of Saskatchewan の発表資料を含む)

ストレッチと筋トレをどう組み合わせるかは、今の体の状態と生活で変わります。まずは体験トレーニング(約50分)で、一緒に確認しましょう。→ 体験トレーニングの流れを見る

よくある質問

ストレッチだけで痩せられますか?

ストレッチだけで体脂肪を減らすのは難しいです。ストレッチの強度は2.3メッツで、体重55kgの人が30分行っても約63kcal、安静時の分を引くと約36kcalです。痩せるための中心は食事と、筋トレや歩くことです。ストレッチは、体を動かしやすくして運動を続ける助けとして使うのがおすすめです。

ストレッチを続けると、体はやわらかくなりますか?

なります。77本の研究をまとめた2024年のメタ解析では、ストレッチを続けた人は、しなかった人より関節の動く範囲が広がり、効果の大きさは中くらいでした。時間や強さ、回数を増やしても効果がはっきり大きくなるわけではなかったので、痛くない強さで続けることが大切です。

筋トレの前にストレッチをすると逆効果ですか?

長く伸ばすと、少し逆効果になることがあります。2016年のレビューでは、ストレッチの直後に測った力や瞬発力は、静的ストレッチで平均3.7%下がり、1か所60秒以上だと4.6%、それより短いと1.1%の低下でした。筋トレの前は軽く体を動かす準備運動を中心にし、長めのストレッチは筋トレの後に回すのがおすすめです。

この記事は、日吉駅西口から徒歩3分・女性専用の日吉のパーソナルジム CLEAN. が書いています。

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