最近、SNSや海外の記事で「女性こそクレアチン」という言葉を見かけるようになりました。体験トレーニングにお越しになる方からも、「クレアチンは飲んだほうがいいですか」「飲むと太るって聞いたのですが」と聞かれることが増えています。
この記事では、その質問に研究の数字で答えます。先にお伝えしておくと、CLEAN.はサプリメントを販売していません。勧めても得をしない立場なので、効果がはっきりしているところと、はっきりしていないところを、そのまま書きます。
先に結論です
- 必須ではありません。体の変化を決めるのは、まずトレーニングと食事です。クレアチンは「足すと少し上乗せがあるかもしれない」もの、という位置づけです。
- 意味が出るのは、筋トレと組み合わせたときです。運動をせずに飲むだけでは、除脂肪量(筋肉など脂肪以外の重さ)はほとんど変わりませんでした。
- 女性での上乗せは、男性より小さめです。除脂肪量の増え方は、男性が平均+1.20kg、女性が+0.54kgという研究のまとめがあります。
- 「太る」の正体は、主に水分です。体重は平均で+0.86kgほど増えますが、体脂肪量は増えていません。
- 健康な人が推奨量(1日3〜5g)を飲む範囲では、安全性の研究は積み上がっています。ただし、腎臓の病気がある方、妊娠中の方、薬を飲んでいる方は、自己判断で始めず医師に相談してください。
以下、それぞれの根拠を順番に書きます。
そもそもクレアチンとは
クレアチンは、体の中で作られ、主に筋肉に蓄えられている成分です。短い時間に大きな力を出すときのエネルギーの補給にかかわっています。食べ物では、赤身の肉や一部の魚、牛乳に含まれます。
サプリメントとして飲むと、筋肉の中のクレアチンの量が増えます。女性を対象にした研究では、多めに飲む期間(ローディング)のあと、筋肉の中のクレアチンが約19%増えていて、これは男性と同じくらいでした。
その結果、重いものを持ち上げる、短く全力で動く、といった運動で「もう1回」「もう少し」が出やすくなります。トレーニングの質が少し上がり、その積み重ねで筋肉や筋力の伸びに上乗せが出る、というのが基本的な考え方です。飲むだけで筋肉が増えるものではありません。
研究で主に使われているのは「クレアチン・モノハイドレート(一水和物)」という形です。
女性にも効くのか。上乗せはあるが、小さめです
まず、よい結果が出た研究からです。運動習慣のない女性が10週間の筋トレをした試験では、クレアチンを飲んだグループのほうが、脚の種目で持ち上げられる最大の重さが、偽薬のグループより20〜25%多く伸びました。除脂肪量の増え方も、偽薬の+1.6kgに対して+2.6kgでした。大学のサッカー選手の試験では、ベンチプレスの伸びが18%(偽薬9%)、スクワットが24%(偽薬12%)でした。
一方で、上乗せが出なかった試験もあります。筋トレだけのグループと差がなかった試験や、トレーニング経験のある女性で、プロテインだけのグループと比べて筋力に差がなかった試験です。
2025年に発表された、運動習慣のある女性を対象にした27件の研究のまとめでは、筋力・パワーを調べた11件のうち、偽薬より改善したのは3件だけでした。著者たちは「多くの研究で、偽薬と比べた運動能力の改善は見られなかった」とし、効果は結論が出ていない、と書いています。月経周期の情報を報告していた研究が3件しかないなど、女性の体を考えた研究が少ないことも指摘されています。
筋肉の量について、研究をまとめた数字も見てみます。
- 35件・1,192人のメタ解析(2022年):クレアチン + 筋トレで除脂肪量 +1.10kg。運動なしでは +0.03kg(意味のある差なし)。男性は+1.46kg、女性は+0.29kgで、女性では統計的に意味のある差になりませんでした。
- 143件・3,655人のメタ解析(2024年):全体で除脂肪量 +0.82kg。男性+1.20kg、女性+0.54kg。ただし、この男女の差は統計的に確かめられたものではなく、傾向として書かれています。
なぜ女性で小さめなのか、理由ははっきりしていません。女性を対象にした試験の数が少ないことも、結果がぶれやすい一因です。
もうひとつ、正直に書いておきたい研究があります。2025年に発表された、女性34人・男性29人の試験です。1日5gを飲み、最初の7日間は運動をせず、そのあと12週間の筋トレをしました。最初の7日間で、女性のクレアチンのグループは除脂肪量が0.59kg多く増えました。ところが、12週間の筋トレの間の増え方は、クレアチンあり+2.24kg、なし+2.11kgで、差はありませんでした。著者たちは、最初の増加は筋肉そのものが増えたのではなく、短期的な変化(水分など)によるものと考えています。
まとめると、女性でも上乗せの可能性はありますが、「飲めば目に見えて変わる」ほどの大きさではありません。どちらの方向の試験もある、というのが今の状況です。
「クレアチンで太る」は本当か
体重の数字は、少し増えることがあります。ただ、増えるのは脂肪ではありません。
先ほどの143件のメタ解析(2024年)では、クレアチンを飲んだグループで次の変化がありました。
- 体重:+0.86kg
- 体脂肪率:−0.28%
- 体脂肪量:+0.05kg(意味のある差なし)
体重は増えていますが、体脂肪量は変わらず、体脂肪率はわずかに下がっています。増えた分は、ほぼ除脂肪量(筋肉と、筋肉に入った水分を含みます)の増加です。著者たちも、体重・除脂肪量・体脂肪率への効果は「とても小さい」とまとめています。
女性の健康とクレアチンについての総説(2021年)でも、体重が増えるのは男性に多く、飲み始めの増加は細胞の中の水分が増えるためで、女性が体重の増加を心配する必要はあまりない、と書かれています。また、炭水化物を一緒にたくさん摂ると、体重は増えやすいとされています。
毎朝体重を測っている方は、飲み始めに数字が少し上がる可能性を知っておくと、慌てずにすみます。体重だけで判断せず、体脂肪率やウエストもあわせて見るのがおすすめです。
むくみは出るのか
ここは、分かっていることと分かっていないことを分けて書きます。
女性30人(平均25歳)を対象にした2023年の試験があります。1日20g(5g×4回)を5日間飲むローディングを、月経周期の卵胞期と黄体期(生理前の時期)にそれぞれ行い、体の水分を測りました。黄体期の結果は次のとおりです。
- 体の水分の合計:クレアチン +0.83L、偽薬 −0.62L
- 細胞の中の水分:クレアチン +0.74L、偽薬 −0.02L
- 細胞の外の水分:クレアチン +0.46L、偽薬 −0.19L
- 体重:グループの間に意味のある差なし
つまり、多めに飲むと体の水分は増えます。増えたのは主に細胞の中ですが、細胞の外の水分も少し増えていました。一方で、体重には意味のある差が出ていません。著者たちは、黄体期の水分の状態をよくするかもしれない、と前向きに書いていますが、「むくんだ感じがするか」という本人の感覚は調べていません。
医療者向けの資料(MSDマニュアル)でも、まれな副作用として、胃の不調、頭痛、筋肉のけいれんなどと並んで、浮腫(むくみ)が挙げられています。一方で、2021年の専門家のまとめでは「クレアチンで必ず水分がたまるわけではない」とされ、たまるとしても主に飲み始めの数日、とされています。
むくみが気になる方は、多めに飲むローディングをせず、1日3〜5gから始めるのが現実的です。ローディングは必須ではありません(あとで書きます)。
安全性。健康な人なら研究は積み上がっています
国際スポーツ栄養学会(ISSN)の見解(2017年)では、健康な人で1日30gまでを5年間飲んでも安全で、よく耐えられているとされています。病気の治療の研究では、体重1kgあたり1日0.3〜0.8g(体重70kgなら21〜56g)という多い量でも、重い副作用は報告されていません。
2021年の専門家のまとめでは、よく聞く心配について次のように整理されています。
- 腎臓:推奨量であれば、健康な人で腎臓の障害は起きない。
- 髪:脱毛との関連は、大半の研究で支持されていない(男性ラグビー選手の1件の研究のみで、再現されていない)。
- 体脂肪:クレアチンで体脂肪は増えない。
女性の健康についての総説(2021年)でも、女性で胃腸・腎臓・肝臓・心臓や血管への悪影響は見られなかったという研究のまとめが紹介されています。
腎臓については、2025年の21件の研究のまとめもあります。クレアチンを飲むと、血液検査の「クレアチニン」という値がわずかに上がりましたが、腎臓のろ過の働き(GFR)には意味のある変化がありませんでした。クレアチニンは腎臓の検査に使う数字なので、健康診断や血液検査の前には、クレアチンを飲んでいることを医師に伝えてください。
そのうえで、次の方は自己判断で始めないでください。
- 腎臓の病気がある、またはあった方、腎臓に影響する薬を飲んでいる方。MSDマニュアルでは、クレアチンを避けるべきとされています。
- 妊娠中の方。人で妊娠中のクレアチンを調べた研究は、まだありません。
- 持病があり、薬を飲んでいる方。主治医に確認してからにしてください。
40代以降の女性ではどうか
年齢とともに筋肉が減っていく時期は、クレアチンの研究が多い分野です。
平均57〜70歳の人を対象にした22件・721人のメタ解析(2017年)では、筋トレ中にクレアチンを飲んだグループで、除脂肪量が偽薬より+1.37kg多く増え、上半身・下半身の筋力も多く伸びました。ただし男女別の結果は出ていません。また、筋トレをせずに飲むだけでは、閉経後の女性での効果は小さいか、ないという研究が多くなっています。
骨については、期待されていたほどの結果は出ていません。閉経後の女性237人(平均59歳)が、2年間、体重1kgあたり1日0.14gのクレアチンか偽薬を飲みながら、週3回の筋トレと週6回のウォーキングを行った試験(2023年)があります。
- 骨密度(大腿骨頸部・股関節全体・腰椎):グループの間に差なし
- 大腿骨頸部の骨の形から計算する強さの指標:クレアチンでは保たれ(1.35→1.34)、偽薬では下がった(1.34→1.28)
- 80mを歩く時間:クレアチン 48.6→47.1秒、偽薬 48.3→48.2秒
- 筋力(ベンチプレス、スクワット系の種目):差なし
この試験では、きちんと飲み続けた人の割合が56%と低く、それが結果に影響した可能性も指摘されています。とはいえ、「クレアチンで骨密度が上がる」とは言えません。女性の健康についての総説(2021年)でも、骨への効果は今のところ見られない、とまとめられています。骨に対していちばん確かなのは、重さをかける筋トレそのものです。
気分や脳への影響も研究されています。抗うつ薬を飲んでいる女性が1日5gを8週間足した試験で、うつ症状の改善が大きかったという報告がありますが、まだ研究段階です。治療中の方は、自己判断で始めたり、薬を変えたりしないでください。
飲み方
研究と専門家の見解から、基本の飲み方をまとめます。
- 量:1日3〜5g、または体重1kgあたり0.1g。体重50kgなら5gです。
- 毎日続ける:筋肉の中のクレアチンが十分に増えるまで、1日5gで3〜4週間ほどかかります。
- ローディングは必須ではありません:体重1kgあたり1日0.3g(5g×4回)を5〜7日飲んでから3〜5gに減らす方法もありますが、2021年の専門家のまとめでは「不要」とされています。早く増えるかわりに、飲み始めの水分や体重の増加が出やすくなります。
- 形:研究のほとんどはクレアチン・モノハイドレートです。
- 筋トレと組み合わせる:運動なしでは、除脂肪量はほとんど変わりませんでした。
飲む時間帯で結果が大きく変わるという根拠は、今回読んだ資料の中には見当たりませんでした。決まった時間に飲むほうが忘れにくい、くらいに考えてください。
なお、2025年の試験の著者たちは、筋トレの上乗せを出すには1日5gより多い量が必要かもしれない、とも書いています。適切な量は、女性ではまだはっきり決まっていません。
どんな女性に向いているか
試してみる価値がありそうな方
- 週2回以上の筋トレを続けていて、食事も整っている。そのうえで、もう少し上乗せがほしい。
- 40代以降で筋トレをしていて、筋肉の量を保ちたい。
- 肉や魚をあまり食べない。クレアチンは主に肉や魚から摂るので、食事から入る量が少なくなります。
急がなくていい方
- まだ運動の習慣がない。まずは筋トレを始めることのほうが、ずっと大きな差になります。
- たんぱく質や食事の量が足りていない。先にそちらを整えるほうが確実です。
- 体重の数字が少しでも増えると、強いストレスになる。
自己判断で始めないでほしい方
- 腎臓の病気がある方、妊娠中の方、薬を飲んでいる方。必ず医師に相談してください。
優先順位は、トレーニングと食事が先です
ここまでの数字を並べると、クレアチンの位置づけがはっきりします。女性での除脂肪量の上乗せは、多く見積もって+0.5kg前後です。一方で、筋トレそのものは、続ければ体の中身を大きく変えます。上の2025年の試験でも、12週間の筋トレで、クレアチンを飲んでも飲まなくても、除脂肪量は約2kg増えていました。
順番としては、まず週2回の筋トレ、次にたんぱく質を含む食事、そのあとでサプリメントを考える、です。たんぱく質の量は女性はたんぱく質を1日何g摂ればいいのか、プロテインについてはプロテインは飲むべきか。必要な人と、要らない人、回数については女性の筋トレは週何回がいい?週1回でも意味はあるのかにまとめています。
参考:日吉のCLEAN.の場合
比較の材料になるよう、当ジムがどうしているかも書いておきます。
CLEAN.は、日吉駅 西口から徒歩3分、女性専用・完全個室のパーソナルジムです。行っているのは、ダンベルやマシンを使う筋トレと、毎日のLINEでの食事指導です。サプリメントの販売はしていません。クレアチンもプロテインも、飲むかどうかは任意で、飲まなくてもトレーニングの効果はきちんと出ます。
飲んでみたい方は、この記事の内容を参考に、無理のない量から試してください。腎臓の病気がある方、妊娠中の方、薬を飲んでいる方は、先に医師に相談してください。
料金は月4回コースが42,000円(税込46,200円)、月8回コースが72,000円(税込79,200円)、入会金は30,000円(税込33,000円)です。体験トレーニングは約50分・5,000円(税込5,500円)で、ご入会された場合は無料になります。ウェア・シューズ・タオル・水はすべてお貸しするので、手ぶらで来ていただけます。
まとめ
クレアチンは、女性にとって必須のものではありません。筋トレと組み合わせると除脂肪量や筋力に上乗せが出る可能性がありますが、女性ではその幅は男性より小さめで、効果が出なかった試験もあります。運動せずに飲むだけでは、ほとんど変わりません。
「太る」の正体は、主に水分です。体重は平均で1kg弱増えることがありますが、体脂肪は増えていません。むくみが気になる方は、ローディングをせず1日3〜5gから始めるのが現実的です。
健康な人が推奨量を飲む範囲では、安全性の研究は積み上がっています。ただし、腎臓の病気がある方、妊娠中の方、薬を飲んでいる方は、医師に相談してください。そして何より、効果の土台はトレーニングと食事です。
- CLEAN.
出典
Kreider RB, Kalman DS, Antonio J ほか, Journal of the International Society of Sports Nutrition, 2017(ISSN position stand)/Antonio J, Candow DG, Forbes SC ほか, Journal of the International Society of Sports Nutrition, 2021/Smith-Ryan AE ほか, Nutrients, 2021(Creatine Supplementation in Women's Health: A Lifespan Perspective)/Tam R, Mitchell L, Forsyth A, Nutrients, 2025/Delpino FM, Figueiredo LM, Forbes SC, Candow DG, Santos HO, Nutrition, 2022/Pashayee-Khamene F ほか, Journal of the International Society of Sports Nutrition, 2024/Desai I, Pandit A, Smith-Ryan AE ほか, Nutrients, 2025/Moore SR, Gordon AN, Cabre HE, Hackney AC, Smith-Ryan AE, Nutrients, 2023/Kabiri Naeini E ほか, BMC Nephrology, 2025/Chilibeck PD, Kaviani M, Candow DG, Zello GA, Open Access Journal of Sports Medicine, 2017/Chilibeck PD ほか, Medicine & Science in Sports & Exercise, 2023/MSDマニュアル家庭版「クレアチン」(2025年7月更新)
サプリメントを考える前に、まずはトレーニングと食事の土台を一緒に整えましょう。体験トレーニング(約50分)で、今の体の状態と目的を確認できます。→ 体験トレーニングの流れを見る
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よくある質問
クレアチンを飲むと太りますか?
体重の数字は少し増えることがありますが、脂肪は増えていません。143件の研究をまとめた2024年のメタ解析では、体重は平均+0.86kgでしたが、体脂肪量に意味のある変化はなく、体脂肪率はわずかに下がっていました。増えるのは主に筋肉に入る水分と除脂肪量です。体重だけでなく、体脂肪率やウエストもあわせて見てください。
クレアチンは腎臓に悪くないですか?
健康な人が推奨量(1日3〜5g)を飲む範囲では、腎臓の障害は起きないというのが専門家の見解です。ただし、血液検査のクレアチニンの値がわずかに上がることがあるので、検査の前には飲んでいることを医師に伝えてください。腎臓の病気がある方、腎臓に影響する薬を飲んでいる方は、避けるか、必ず医師に相談してください。
生理前のむくみが気になります。クレアチンで悪化しますか?
黄体期(生理前の時期)に1日20gを5日間飲んだ女性の試験では、体の水分は約0.8L増えましたが、体重に意味のある差は出ませんでした。ただし、むくんだ感じがするかどうかは調べられていません。気になる方は、多めに飲むローディングをせず、1日3〜5gから始めるのが現実的です。
この記事は、日吉駅西口から徒歩3分・女性専用の日吉のパーソナルジム CLEAN. が書いています。