夜遅く食べると太る?「夜9時以降」は本当か、研究で確かめる

仕事帰りに体験トレーニングにお越しになる方から、「夕食がどうしても21時、22時になるんです。夜9時以降に食べると太るんですよね?」という相談をよく受けます。

この記事では、夜遅い食事が本当に太りやすいのかを、同じカロリーで食べる時間だけを変えた試験を中心に整理します。はっきりしていることと、まだはっきりしていないことは分けて書きます。夜中にお腹がすく仕組みについては夜中の食欲と脳に書いているので、ここでは「食べる時間と体重」に絞ります。

先に結論です

  • 「夜9時以降は太る」のような特定の時刻の線引きには、研究の根拠が見当たりません。研究ごとに「遅い」の決め方も違います。
  • 同じ食事を約4時間遅らせた試験では、空腹感が強くなり、起きている間の消費エネルギーが下がりました。ただし16人・短期間の実験室の試験です。
  • 減量の試験では、朝に多く食べたほうが減ったという結果と、差がなかったという結果の両方があります。9件の試験をまとめると、差は平均1.2kgほどでした。
  • いちばん確かなのは1日の総摂取量です。夜遅い食事が太りやすく見えるのは、間食やお酒、睡眠不足と重なりやすいことも大きいと考えられます。
  • 寝る直前の食事は、体重とは別に胃食道逆流や睡眠の面で避けたほうがよいです。
  • 帰りが遅い日は、夕方に主食を少し、帰宅後はたんぱく質と野菜を軽めにという分け方が現実的です。

以下、それぞれの根拠を順番に書きます。

「夜9時」という時刻に根拠はあるのか

「夜9時以降」「夜10時以降」という目安はよく見かけます。ただ、研究を読んでいくと、「遅い」の決め方は研究ごとにばらばらです。

  • スペインの研究では、昼食が15時より後の人を「遅く食べる人」としています(スペインでは昼食が1日のメインの食事です)。
  • アメリカの実験室の試験では、同じ食事を約4時間遅らせるかどうかで比べています。
  • 血糖を調べた試験では、時刻ではなくふだん寝る時間の1時間前か4時間前かで比べています。

つまり研究が見ているのは、「時計の何時か」よりも、「その人の起きている時間・寝る時間に対してどれくらい遅いか」です。夜9時を境に体の中で何かが切り替わる、という研究は、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。夜9時に夕食を食べて深夜1時に寝る人と、夜9時に食べて22時に寝る人では、意味がまったく違います。

同じカロリーで時間だけずらすと、何が起きるのか

いちばんよく引用されるのが、アメリカの研究グループによる試験(2022年、Cell Metabolism)です。過体重または肥満の16人(うち女性5人)が、まったく同じ食事を、早い時間に食べる期間と約4時間遅く食べる期間の両方を経験しました(クロスオーバー試験)。食事の中身、運動量、睡眠、光の当たり方まで管理しています。

遅く食べた期間には、次のような変化がありました。

  • 空腹感が強くなった。報道によると、空腹を感じる確率は約2倍でした。
  • 満腹に関わるホルモン(レプチン)が、24時間を通して下がった。
  • 起きている間の消費エネルギーと、24時間の深部体温が下がった。
  • 一部の人で調べた脂肪組織では、脂肪をため込む方向に遺伝子の働きが変わっていた。

同じカロリーでも、遅く食べると「お腹がすきやすく、使うエネルギーが少し減る」方向に動く、ということです。ただし、人数は16人で女性は5人だけ、実験室での短い期間の試験です。体重が実際にどれだけ増えるかを調べた試験ではありません。

血糖についても試験があります。スペインの845人を対象にした試験(2022年、Diabetes Care)では、寝る1時間前と4時間前に同じ量のブドウ糖を飲んで比べました。寝る直前のほうが、眠りに関わるホルモンのメラトニンが約3.5倍高く、血糖の上がり方(2時間の合計)は8.3%大きくなりました。この影響は、メラトニンの受け取り方に関わる遺伝子の型(MTNR1B)を持つ人で強く出ています。同じグループの小さな試験(2018年、Clinical Nutrition)でも、同じ傾向でした。糖尿病の人は含まれていない点に注意が必要です。

減量中に「夕食を多め」にすると不利になるのか

では、実際に体重はどうなのか。ここは結果が分かれています。

朝多めのほうが減った試験。イスラエルの試験(2013年、Obesity)では、過体重・肥満でメタボリックシンドロームのある女性93人を、1日1,400kcalの減量食で2つのグループに分けました。朝700・昼500・夜200kcalのグループと、朝200・昼500・夜700kcalのグループです。12週間後、朝多めのグループのほうが体重も腹囲も大きく減り、空腹感も少なくなっていました。中性脂肪は朝多めで33.6%下がり、夜多めでは14.6%上がっています。

差がなかった試験。イギリスの試験(2022年、Cell Metabolism)では、30人(男性16人・女性14人)が、朝45%・昼35%・夜20%の食事と、朝20%・昼35%・夜45%の食事を、4週間ずつ両方試しました。どちらでも約3kg減り、体重の差はありませんでした。1日の消費エネルギーも、精度の高い方法(二重標識水法)で測って差がありませんでした。違いが出たのは空腹感で、朝多めのほうがお腹がすきにくかったと報告されています。

まとめた結果。9件・485人の試験をまとめたメタ解析(2023年、Obesity Reviews)では、朝や昼に多く食べたほうが、夜に多く食べるより平均1.23kg多く減っていました。著者たちは「短期的には」と断ったうえで、長い期間の試験が必要だとしています。

もうひとつ、スペインで減量プログラムに参加した420人を20週間追った研究(2013年、International Journal of Obesity)があります。昼食が15時より後の人は、前の人より体重の減りが少なかった、という結果です。ただ、この研究は食べる時間を割り当てたものではありません。遅く食べる人は夜型が多く、朝食が少ないか、抜くことが多いという違いもありました。時間そのものの影響かどうかは、この研究だけでは分かりません。

確かなこと:総摂取量と、夜に重なりやすい習慣

中国の肥満の139人を12か月追った試験(2022年、New England Journal of Medicine)では、両方のグループが同じようにカロリーを制限し(女性は1日1,200〜1,500kcal)、片方だけ食べる時間を朝8時〜夕方4時に限りました。体重は時間を限ったグループで8.0kg、限らないグループで6.3kg減りましたが、統計的にはっきりした差はありませんでした。早い時間に食べることに意味がないわけではありませんが、総量をそろえると、時間の差はかなり小さくなります。食べる時間を区切る方法については16時間断食は女性に効くのかでも書いています。

そのうえで、夜遅い食事には、太りやすい習慣が重なりがちです。アメリカで51人の食事と睡眠を記録した研究(2011年、Obesity)では、寝るのが遅い人は1日あたり約248kcal多く食べていて、ファストフードが多く、野菜や果物が少なく、BMIも高めでした。観察研究なので、因果関係までは言えません。

実際の生活でも、遅い夕食は「疲れているので手早く高カロリーなもの」「お酒とおつまみ」「食べたあと、だらだら間食」「寝る時間が遅くなる」とセットになりやすいです。厚生労働省の睡眠のガイドでも、就寝直前の夕食や夜食は眠りを妨げるとして、控えるようすすめています。睡眠と体重の関係は寝不足だと太る?にまとめています。

BMAL1の話は、どこまで信じていいか

「BMAL1(ビーマルワン)というたんぱく質が夜10時〜深夜2時ごろに増えるので、その時間に食べると脂肪になりやすい」という説明は、テレビや雑誌でよく見かけます。

元になった研究のひとつ(2005年、PNAS、日本の研究グループ)は、培養した脂肪細胞とマウスを使ったものです。BMAL1が脂肪細胞をつくることや脂肪の合成に関わること、マウスの脂肪組織でその働きに1日のリズムがあることを示しました。体内時計が代謝に関わること自体は、上で紹介した人の試験とも矛盾しません。

ただ、人で「何時に食べると脂肪になる量が何倍になる」と測った研究ではありません。「夜10時を過ぎたら一口でも危ない」のような受け取り方は、言いすぎだと思います。

寝る直前に食べないほうがいい理由は、体重以外にもあります

体重よりもはっきりしているのが、胃腸と睡眠への影響です。

日本消化器病学会の患者向けガイド(胃食道逆流症)では、逆流を防ぐ生活の注意として就寝前3時間の食事を避けることが挙げられています。同じガイドでは、効果が特に高い生活改善として、肥満の解消(体重を減らすこと)と、上半身を少し起こして寝ることが挙げられています。胸やけしやすい方は、寝る直前の食事を避けたほうが楽になる可能性があります。

一方で、夜に食べること自体を怖がる必要はありません。夜間の食事についての総説(2015年、Nutrients)では、夜の大きな食事と体重増加などの関連が指摘される一方で、約150kcalほどの小さな食事は害がないようで、筋肉のたんぱく質合成にはむしろ役立つ可能性がある、とまとめられています。

帰りが遅い日の食べ方

働いている方にとって、毎日18時に夕食をとるのは現実的ではありません。研究と国の資料をふまえて、私たちがおすすめしているのは次のような工夫です。

  1. 夕食を2回に分ける。農林水産省の食育の資料でも、夕食が遅くなるときは、夕方におにぎりなどの主食を食べ、帰宅後におかずを食べる分け方が紹介されています。空腹の状態で夜遅く帰ると、食べすぎにつながりやすくなります。
  2. 帰宅後はたんぱく質と野菜を中心に。同じ資料では、寝る直前に丼ものやラーメンなど、エネルギーや脂質の多いものを食べることを控えるよう書かれています。豆腐、卵、魚、鶏肉、汁ものなどが使いやすいです。1日に必要なたんぱく質の量は女性はたんぱく質を1日何g摂ればいいのかを参考にしてください。
  3. 寝るまでに少し時間をあける。帰宅が23時で寝るのが0時なら、量を減らして消化のよいものにする、というように、寝る時間から逆算します。
  4. お酒と「ついで食べ」を分けて考える。遅い夕食で太る原因は、食事そのものより、そのあとの間食やお酒であることも多いです。
  5. 朝食を抜かない。上の研究でも、遅く食べる人は朝食が少ないか抜く傾向がありました。朝に少し多めに食べると、日中の空腹感が減ったという試験もあります。

そして、遅い夕食が1日あったからといって「失敗」と考えないでください。体重は1日や1食ではなく、何週間もの合計で決まります。

参考:日吉のCLEAN.の場合

比較の材料になるよう、当ジムがどうしているかも書いておきます。

CLEAN.は、日吉駅 西口から徒歩3分、女性専用・完全個室のパーソナルジムです。行っているのは、ダンベルやマシンを使う筋トレと、毎日のLINEでの食事指導です。夕食が遅くなりがちな方には、「何時までに食べてください」と決めるより、その日の帰宅時間と寝る時間に合わせて、夕方の補食と帰宅後の食事をどう分けるかを一緒に考えています。

体験トレーニングでは、最初に姿勢と動きを確認し、目的と生活リズムをうかがいます。胸やけが続く方や、治療中の病気がある方は、主治医の判断を優先してください。

まとめ

「夜9時以降に食べると太る」という時刻の線引きに、はっきりした根拠はありません。ただ、同じカロリーでも遅く食べると空腹感が強くなり、消費エネルギーが少し下がるという試験はあり、減量では朝や昼に多めに食べるほうが少し有利という結果もあります。

それでも、体重をいちばん大きく左右するのは1日の総摂取量です。夜遅い食事は、間食、お酒、睡眠不足と重なりやすいので、そちらを整えるほうが効果は大きいと考えています。寝る直前の食事は、逆流や睡眠のためにも避け、帰りが遅い日は分けて軽く食べる。これが、研究から言える現実的な付き合い方です。

- CLEAN.

参考文献

Vujović N ほか, Cell Metabolism, 2022/Garaulet M ほか, Diabetes Care, 2022/Lopez-Minguez J, Saxena R, Bandín C, Scheer FA, Garaulet M, Clinical Nutrition, 2018/Jakubowicz D, Barnea M, Wainstein J, Froy O, Obesity, 2013/Ruddick-Collins LC ほか, Cell Metabolism, 2022/Young I ほか, Obesity Reviews, 2023/Garaulet M ほか, International Journal of Obesity, 2013/Liu D ほか, New England Journal of Medicine, 2022/Baron KG ほか, Obesity, 2011/Shimba S ほか, Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA, 2005/Kinsey AW, Ormsbee MJ, Nutrients, 2015/日本消化器病学会 患者さん向けガイド「胃食道逆流症(GERD)」2023/厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」/農林水産省 食育ページ(体内時計と食生活)

夕食の時間が不規則でも、続けられる食べ方は見つけられます。まずは体験トレーニング(約50分)で、生活リズムに合わせて一緒に確認しましょう。→ 体験トレーニングの流れを見る

よくある質問

夕食は何時までに食べれば太りませんか?

「この時刻を過ぎると太る」という境目は、研究では確かめられていません。体重にいちばん影響するのは1日の総摂取量です。そのうえで、胃食道逆流や睡眠の面からは、寝る直前の食事は避けたほうがよく、日本消化器病学会の患者向けガイドは就寝前3時間の食事を避けることを挙げています。

帰りが遅い日は、夕食を抜いたほうがいいですか?

抜くより、分けて軽くするほうをおすすめします。夕方におにぎりなどの主食を少し食べておき、帰宅後はたんぱく質と野菜を中心に軽めにします。夜に約150kcalの小さな食事をとることは害がないようだ、とまとめた総説もあります。

同じカロリーなら、夜に食べても太りませんか?

体重を決める土台は総摂取量です。ただし、同じ食事を約4時間遅らせた試験では、空腹感が強くなり、起きている間の消費エネルギーが下がりました。一方で、朝多めと夜多めを4週間ずつ比べた減量試験では、体重の減り方に差はありませんでした。時間の影響はあっても、総量ほど大きくはないと考えてください。

この記事は、日吉駅西口から徒歩3分・女性専用の日吉のパーソナルジム CLEAN. が書いています。

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