筋肉痛が来ないと効いていない?遅れて来る理由と、痛いときに鍛えていいか

体験トレーニングにお越しになる方から、「次の日に筋肉痛が来なかったんですが、ちゃんと効いていますか?」という質問をよく受けます。反対に、「前回は階段を下りるのもつらかった」「筋肉痛が残っているけれど、今日やっても大丈夫ですか」という声もよく聞きます。

この記事では、筋肉痛がなぜ遅れて来るのか、筋肉痛と筋トレの効果は関係があるのか、痛いときに鍛えていいのかを、研究の数字をもとに整理します。分かっていることと、まだはっきりしないことは分けて書きます。

先に結論です

  • 運動の翌日以降に出る筋肉痛は遅発性筋痛と呼ばれ、運動後24〜72時間で痛みがピークになります。
  • 筋肉痛が出やすいのは、筋肉が伸ばされながら力を出す動き(しゃがむ、ダンベルを下ろす、坂を下るなど)です。
  • 同じ運動を繰り返すと、2回目以降は筋肉痛が軽くなります。これは効かなくなったのではなく、体が慣れた結果です。
  • 筋肉痛は、筋肉が育っているかどうかの目安になりません。筋肉痛がほとんど出なくても、筋肉が同じように増えた研究があります。
  • 軽い筋肉痛なら、トレーニングしても回復が遅れるという結果は出ていません。強い筋肉痛のときは、1〜2日は強さと量を落とすか、別の部位を鍛えます。
  • 筋肉痛をやわらげる方法では、マッサージがいちばん研究がそろっています。ストレッチには、意味のある効果は確認されていません。
  • 運動量に見合わないほどの強い痛みや、赤褐色やコーラ色の尿が出たら、筋肉痛ではなく横紋筋融解症の可能性があります。すぐに医療機関を受診してください。

以下、それぞれの根拠を順番に書きます。

筋肉痛は、なぜ遅れて来るのか

運動している最中や直後の「きつさ」とは別に、翌日や翌々日に出てくる痛みがあります。これが遅発性筋痛です。

日本の研究者(水村和枝氏・田口徹氏)による筋肉痛のレビュー(2016年、Journal of Physiological Sciences)では、遅発性筋痛は、慣れない激しい運動のあとに12〜24時間の痛みのない時間をおいて現れ、24〜72時間でピークになると説明されています。筋トレの研究者によるレビュー(2013年、Strength and Conditioning Journal)でも、痛みは強い運動の6〜8時間後から感じ始め、48時間前後でピークになるとされています。

なぜ遅れるのかは、まだはっきりしていません。筋肉の細かな損傷と、そのあとに起きる炎症が原因だと長く考えられてきました。ただ、上の2016年のレビューでは、ラットの実験で顕微鏡で分かるような損傷や炎症がなくても筋肉痛が起きたことが紹介されています。著者たちは、筋肉の損傷は筋肉痛を起こしうるものの必須ではなく、神経の成長にかかわる物質(神経成長因子など)が大きな役割を果たしている、とまとめています。

伸ばされながら力を出す動きで、筋肉痛は起きやすくなります

筋肉の動き方には、縮みながら力を出す動き(短縮性収縮)と、伸ばされながら力を出す動き(伸張性収縮、エキセントリック収縮)があります。スクワットでしゃがんでいく局面や、ダンベルをゆっくり下ろす局面、山道や階段を下りるときの太ももの前が、伸張性収縮です。

2016年のレビューでは、筋肉痛を起こすのは伸張性収縮で、短縮性収縮では起きないという古くからの研究結果が紹介されています。2013年のレビューでも、筋肉痛がいちばん強く出るのは伸張性収縮だとしています。また同じレビューでは、マラソンや長時間の自転車こぎのような、筋肉を大きくする運動ではないものでも筋肉痛は起きる、と指摘しています。ここからも、筋肉痛があること自体が「筋肉が育っている印」ではないことが分かります。

2回目からは、筋肉痛が軽くなります

同じ運動を繰り返すと、初回ほどの筋肉痛は出なくなります。これは繰り返し効果と呼ばれ、研究でよく確かめられている現象です。

男子学生35人に、腕の曲げ伸ばしの伸張性収縮を24回行う運動を、間を空けて2回してもらった研究があります(2001年、Medicine and Science in Sports and Exercise)。2回の間隔は6か月、9か月、12か月の3パターンです。

  • 間隔が6か月のグループでは、2回目のほうが筋力の戻りが早く、腫れ、筋肉痛、血液中の筋肉の損傷の指標(CK)も小さくなりました。筋肉痛の強さは、0〜50mmの目盛りで平均28.5mmから19.9mmに下がっています。
  • 9か月では、筋力の戻りが早いことなど一部だけに差が残りました。
  • 12か月では、守る効果は見られませんでした。

著者たちは、繰り返し効果は多くの指標で少なくとも6か月続き、9〜12か月の間に失われるとまとめています。同じ研究者による2011年のレビューでは、軽い負荷や少ない回数の伸張性収縮でも、次の運動での損傷を減らす効果があると整理されています。

つまり、通い始めのころに強かった筋肉痛が、数回後には軽くなるのは自然なことです。「効かなくなった」と考える必要はありません。

筋肉痛と、筋肉が育つことは別のものです

「筋肉痛が来ないと効いていない」という考え方は、研究からは支持されていません。

アメリカの研究(2011年、Journal of Experimental Biology)では、健康な大学生14人(各グループ女性3人・男性4人)を2つのグループに分け、伸張性収縮を中心にした自転車こぎの運動を、週3回・8週間行いました。行った運動の量は、2つのグループでそろえています。

  • 一方のグループは、3週間かけて少しずつ慣らしてから始めました。このグループでは、筋肉痛は低いまま、CKも正常範囲に収まっていました。
  • もう一方のグループは、慣らさずにいきなり始めました。こちらはCKが5倍以上に上がり、筋肉痛もはっきり出ました。
  • それでも、太ももの筋肉の増え方は6.5%と7.5%、筋力の伸びは25%と26%で、グループ間に有意な差はありませんでした。

著者たちは、筋肉を大きくする変化は、目に見える筋肉の損傷がなくても起こりうると結論しています。

別の研究(2016年、Journal of Physiology)では、若い男性10人が10週間の筋トレを行い、1週目、3週目、10週目に筋肉を詳しく調べました。筋肉の損傷はトレーニングを始めたばかりの1週目がいちばん大きく、10週目にはほとんど見られなくなりました。一方で、筋線維が太くなっていたのは10週目でした。筋肉をつくる反応と筋肉の増え方の関係が見られたのも、損傷が小さくなってから(3週目と10週目)です。

筋トレの研究者2人による2013年のレビューも、筋肉痛は「何らかの損傷が起きた」ことの大まかな目安にはなっても、トレーニングの成果を判断する基準として使うべきではない、と結論しています。強すぎる筋肉痛は、むしろやりすぎのサインとして扱うべきだとも書いています。

では、効果は何で確かめればいいのか。扱える重さや回数が増えているか、同じ動きが楽にできるようになっているかを見るのが確実です。体の変化が見えてくるまでの時間は、筋トレの効果はいつから?でまとめています。

筋肉痛があるとき、トレーニングしていいのか

筋肉痛の対処法とトレーニングへの影響をまとめた2003年のレビュー(Sports Medicine)は、次のように書いています。

  • 運動は、筋肉痛の痛みをやわらげるいちばん効果的な手段だが、その効果は一時的
  • 毎日トレーニングする必要がある場合は、強い筋肉痛が出る運動のあと1〜2日は、運動の強さと時間を減らす
  • 筋肉痛が少ない部位の運動をすすめる

筋肉痛が残っているうちに同じ運動をしたらどうなるかを調べた研究もあります(2002年、Journal of Strength and Conditioning Research)。ダンベルを使った腕の伸張性収縮の運動を、1回目の2日後と4日後にも繰り返したところ、1回だけ行った場合と比べて、筋肉痛やCK、筋力の回復に差は出ませんでした。著者たちは、追加の運動は筋肉の損傷を悪化させず、回復の過程にも影響しなかったとまとめています。

ただし、筋肉痛があると、その部位は力が出にくく、動きも小さくなりがちです。重い重さを扱うとフォームが崩れやすくなります。実際には、次のように考えるのが無難です。

  • 軽い筋肉痛:いつもどおり行ってかまいません。動いているうちに痛みが和らぐことも多いです。
  • 強い筋肉痛:その部位は重さや回数を落とすか、別の部位(脚が痛ければ上半身など)を鍛えます。
  • 痛みで動きが変わってしまう:その部位は休みます。

週に何回、どの部位を鍛えるかの組み立ては、女性の筋トレは週何回がいい?で書いています。

筋肉痛をやわらげる方法。根拠の強さには差があります

筋肉痛を早く治す方法はいろいろ言われていますが、研究の結果には差があります。

方法研究で分かっていること
マッサージ11件・504人のランダム化比較試験をまとめたメタ解析(2017年、Frontiers in Physiology)で、運動後24・48・72時間の筋肉痛が軽くなりました。107件の研究をまとめた2018年のメタ解析でも、筋肉痛と疲労感にいちばん効果のあった方法でした。
軽く体を動かす(積極的休養)2018年のメタ解析で、筋肉痛を減らす効果がありました。効果の大きさは研究によって小〜大と幅があります。
着圧ウェア・水に浸かる方法2018年のメタ解析で、筋肉痛を減らす方法に含まれていました。
ストレッチ12件の研究をまとめたコクラン・レビュー(2011年)で、運動後のストレッチで減った筋肉痛は100点満点で約1点でした。著者たちは、意味のある効果はないと結論しています。

正直に書くと、マッサージの効果も「痛みの感じ方」を本人に答えてもらって測ったものです。マッサージを受けたかどうかは本人に分かってしまうので、気分の影響を完全には切り離せません。筋肉痛は何もしなくても数日でおさまるものなので、つらさを軽くする手段のひとつ、くらいに考えるのがよいと思います。

ストレッチは、筋肉痛を減らす目的では効果がはっきりしませんが、体の動きやすさのためには意味があります。ストレッチ・マッサージ・運動の使い分けは、肩こり・腰痛のケア。ストレッチとマッサージと運動の使い分けで書いています。

こんな痛みは、筋肉痛ではないかもしれません

ふつうの筋肉痛は、運動の翌日から2日後ごろをピークに、少しずつ軽くなっていきます。次のような場合は、筋肉痛以外の原因を考えてください。

  • 運動中に「ピキッ」と鋭い痛みが走った、その場で力が入らなくなった:肉離れなど、けがの可能性があります。
  • ひどく腫れている、日がたっても痛みが強くなっていく。
  • 尿が赤褐色やコーラ色になった。

特に注意したいのが横紋筋融解症です。MSDマニュアル家庭版では、横紋筋融解症は、損傷を受けた筋線維が分解され、その中身が血液中に出ることで起きる状態で、原因のひとつに激しい運動があり、症状として筋肉痛、筋力低下、赤褐色(または茶色)の尿が挙げられています。重い合併症として急性腎障害(急性腎不全)があります。

アメリカ国立労働安全衛生研究所の2018年の資料では、次のような症状があればすぐに医療機関で診てもらうよう呼びかけています。

  • 運動の量から考えて、強すぎる筋肉の痛みやけいれん
  • いつもと違う疲れで、運動を続けられない
  • 紅茶やコーラのような色の尿

「筋肉痛だから様子を見よう」と自己判断せず、早めに受診してください。

参考:日吉のCLEAN.の場合

比較の材料になるよう、当ジムがどうしているかも書いておきます。

CLEAN.は、日吉駅 西口から徒歩3分、女性専用・完全個室のパーソナルジムです。この記事で書いたとおり、筋肉痛の強さは効果の目安になりません。そのため、強い筋肉痛を出すことを目的にはしていません。

特に最初の数回は、伸張性収縮がいちばん筋肉痛を起こしやすい時期なので、重さや回数を控えめにして始めます。毎回、前回のあとの筋肉痛の具合をうかがい、強く残っている部位があれば、その日は重さを落とすか、別の部位を中心にします。効果は、筋肉痛ではなく、扱える重さや回数、動きの変化で一緒に確認していきます。

持病のある方や、治療中の方は、主治医の判断を優先してください。

まとめ

筋肉痛(遅発性筋痛)は、慣れない運動、特に伸ばされながら力を出す動きのあとに、24〜72時間でピークになる痛みです。なぜ遅れて来るのかは、まだ完全には分かっていません。

同じ運動を繰り返すと、筋肉痛は軽くなります。筋肉痛がほとんど出なくても筋肉は同じように増えたという研究があり、筋肉痛は効果の目安になりません。軽い筋肉痛ならトレーニングしてかまいませんが、強いときは1〜2日、強さと量を落とすか、別の部位を鍛えます。

やわらげる方法では、マッサージや軽く体を動かすことに根拠があり、ストレッチにはほとんど効果がありません。強すぎる痛みや、赤褐色・コーラ色の尿は、筋肉痛ではないサインです。すぐに受診してください。

- CLEAN.

参考文献

Mizumura K, Taguchi T, Journal of Physiological Sciences, 2016/Schoenfeld BJ, Contreras B, Strength and Conditioning Journal, 2013/Nosaka K, Sakamoto K, Sacco P, Newton M, Medicine and Science in Sports and Exercise, 2001/Nosaka K, Aoki MS, Brazilian Journal of Biomotricity, 2011/Flann KL, LaStayo PC, McClain DA, Hazel M, Lindstedt SL, Journal of Experimental Biology, 2011/Damas F ほか, Journal of Physiology, 2016/Cheung K, Hume P, Maxwell L, Sports Medicine, 2003/Nosaka K, Newton M, Journal of Strength and Conditioning Research, 2002/Guo J ほか, Frontiers in Physiology, 2017/Dupuy O ほか, Frontiers in Physiology, 2018/Herbert RD, de Noronha M, Kamper SJ, Cochrane Database of Systematic Reviews, 2011/MSDマニュアル家庭版「横紋筋融解症」/NIOSH「What Structural Fire Fighters Need to Know About Rhabdomyolysis」2018

どのくらいの強さから始めればいいかは、今の体の状態と運動の経験で変わります。まずは体験トレーニング(約50分)で、一緒に確認しましょう。→ 体験トレーニングの流れを見る

よくある質問

筋肉痛が来なくなったら、筋トレの効果は落ちているのですか?

そうとは限りません。同じ運動を繰り返すと、2回目以降は筋肉痛が軽くなることが分かっています(繰り返し効果)。筋肉痛が強く出たグループと、ほとんど出なかったグループで、8週間後の筋肉の増え方に差がなかった研究もあります。効果は、扱える重さや回数の変化で確かめるのが確実です。

筋肉痛があるときに、トレーニングしてもいいですか?

軽い筋肉痛なら、多くの場合は問題ありません。筋肉痛が残っている2日後・4日後に同じ運動をしても、筋肉のダメージや回復は悪化しなかったという研究があります。強い筋肉痛のときは、1〜2日は強さと時間を減らすか、痛みの少ない部位を鍛えるのが無難です。

筋肉痛は、なぜ1〜2日遅れて来るのですか?

はっきりした仕組みは、まだ分かっていません。日本の研究者のレビューでは、運動後12〜24時間は痛みのない時間があり、その後24〜72時間で痛みがピークになるとされています。筋肉の細かな損傷と炎症が原因と長く考えられてきましたが、損傷がなくても筋肉痛が起きることが動物実験で示されていて、神経の成長にかかわる物質の関与が考えられています。

この記事は、日吉駅西口から徒歩3分・女性専用の日吉のパーソナルジム CLEAN. が書いています。

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